「タワマン節税はもう使えない」というイメージとは裏腹に、実際のデータを見ると「今もまだ買い」という状態といえそうです。

 しかし、話はそう簡単ではありません。
 
 現状を税務当局も見過ごすはずはないでしょう。将来的には、「補正率のさらなる引き上げ」や「高額マンションに限定した特例的課税」といった対策が検討される可能性があると私は考えています。

 つまり、現時点では「タワマン節税は健在」ですが、将来も継続していくとは考えづらいということです。

 また、高騰を続ける都心のマンション価格がこの水準を継続できるかどうかも、個人的には疑問です。

 海外では、高級コンドミニアムよりも戸建ての方が価格が高いこともザラにあります。しかしながら、日本では大手マンションデベロッパーの努力のたまものというべきか、マンション価格だけが凄まじい勢いで上がり続けています。

 例えば、タワマンも戸建ても両方が立ち並ぶ目黒。タワマンの坪当たり価格が1200万円を超えることも珍しくありません。一方で、戸建ての坪当たり単価は高級タワマンの半分以下、もしくは三分の一になっていることも多々あります。

 個人的には、この「マンションと戸建ての価格差」があまりにも開きすぎており、この価格差はいずれ収斂(しゅうれん)される気がしてならないのです。

 タワマン節税を封じる狙いで区分所有補正率が導入されたものの、現状は実勢価格の高騰が増税効果を打ち消しています。

 データ上は「まだまだ節税効果は健在」であるものの、都心のタワマン価格は“暴騰”ともいえる状況。さらなる税制改正やマンション価格の下落を見据えつつ、富裕層は次の戦略を練る踊り場にいるといえます。

「タワマン節税は終わった」という見方は誤りで、むしろ当局と富裕層の“いたちごっこ”はこれからが本番なのではないでしょうか。