
2026年4月から始まる自転車の「青切符」制度。多くの人が身構える中、ルールづくりに関わった専門家が「全面的には賛成できない」と制度の問題点を指摘します。そこには、日本の道路交通法と道路環境が抱える、矛盾だらけの「致命的な欠陥」が隠されていました。施行前に知っておくべき、衝撃の事実とは。(ウーバー配達員ライター 佐藤大輝)
自転車の車道通行は無理?
ルールを作った側の本音
2026年4月から施行される、自転車の青切符。もしも自転車に乗っている最中にスマホを操作したり、歩行者をヒヤリハットさせたりした場合は「一発アウト」で反則金を支払う社会に変わる。
自転車は現行のルールでも原則として、車道を通行しなければならない。つまり来春からこのルールが徹底されるというわけだ。しかし路駐している車の存在や自転車道の不整備など、自転車の車道通行には課題も多い。
こういった課題を1つずつ解決するため、「車を運転するドライバーに“自転車を尊重”するよう新しいルールを作った」と教えてくれたのは、警察と一緒に現在進行形で青切符のルールづくりに関与している、NPO法人自転車活用推進研究会理事長の小林成基氏だ。
来春(2026年4月1日施行 道路交通法の一部を改正する法律)からは、車道で自転車を抜く車は「間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない」ことになる。法律には明記されていないが、「十分な間隔」は1.5メートルで「安全な速度」は自転車の速度より5~10km/h上回る速さがそれぞれの目安のようだ(朝日新聞 2023年12月21日)。
小林氏へのインタビューを経て、私は「警察は杓子定規に新ルールを適用するのではなく、現場の実情を鑑みたうえで、柔軟な運用を行おうとしている」と考えるようになった。
その一方で、むしろ現場をよく知っている「ルールをつくる側」だからこそ、今回の青切符導入に課題や矛盾、葛藤を抱えているのだと感じた。小林氏は今回の青切符施行に「見切り発車」の側面があることを認めており、今後も改善すべき点はあると考えているようだ。
まずはやれるところから
青切符と同時に進めるべきこと
佐藤 自転車の青切符導入まで約半年を切りました。新しいルールの浸透(周知)を含め、現場は混乱していると思うのですが、今の率直な気持ちを教えてください。
小林 まず私は、今回の青切符導入には全面的に賛成ではありません。