
NHKの連続テレビ小説「虎に翼」などで知られる脚本家の吉田恵里香氏が「炎上」した。吉田氏がシリーズ構成と脚本を担当しているアニメ「ぼっち・ざ・ろっく」についてイベントで語った「ノイズ」という言葉が問題視されたのだ。いろいろな人がいろいろな角度からこの件について語っていたが、一つ、あまり出ていない視点があったと稲田氏は指摘する。「ぼっち・ざ・ろっく脚本家の炎上」とかけて「地方のメガショッピングモール」と解く、その心は?(ライター、編集者 稲田豊史)
「原作改変」に対する反発
少し前の話になるが、朝ドラ「虎に翼」などで知られる脚本家の吉田恵里香氏が「炎上」した。正確に言えば、吉田氏の発言を載せたイベントリポートのウェブ記事が「炎上」した。それから約2週間。状況がだいぶ落ち着いてきたので、改めてこの件について考えてみたい。
記事が掲載されたのは9月14日。そこには、吉田氏がシリーズ構成・脚本を担当したアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』について、同氏が以下のように発言した――と書かれていた。
「原作ではひとりちゃん(※主人公の後藤ひとり)が水風呂に入るシーンで裸になっているんですが、アニメでは水着にしてもらいました。ぼざろがそういう描写が売りの作品ならいいと思いますが、そうではないと思いますし、覇権を狙う上ではそうした描写はノイズになると思ったんです」(KAI-YOU「『ぼっち・ざ・ろっく!』『虎に翼』の脚本家 吉田恵里香が語る、アニメと表現の“加害性”」より)
「ぼざろ」とは『ぼっち・ざ・ろっく!』のこと。「覇権」とはアニメ界隈における独特の用語で、この文脈では同時期に放送されているアニメ作品の中でもっとも人気を取ることを指している。
この「ノイズ」という言葉が、X(Twitter)上で噛みつかれた。原作ありきのアニメ作品なのに、リスペクトすべき原作での描写を、いち脚本家が「ノイズ」扱いして改変するとは何事か、というわけだ。