朝ドラ『虎に翼』の寅子に視聴者から初ブーイング、それでも伊藤沙莉の演技にゾッとするほど共感できる理由朝ドラでの伊藤沙莉の演技に初ブーイング。それでも「共感」しかない? 第31回橋田賞にて Photo:JIJI

女性初の弁護士となった主人公が男社会の司法に「はて?」を突きつける姿が共感と感動を集めている朝ドラ『虎に翼』。しかし今週、主人公の寅子の言動に戸惑いを覚える視聴者の声が相次いだ。その理由は……? ※記事には放送回までのネタバレが含まれます。(フリーライター 鎌田和歌)

絶好調『虎に翼』で寅子への評価に異変?
視聴者がざわついた放送回の中身

 苦しい戦中を経て、一度は諦めることになった法曹界に戻り、最高裁判所家庭局事務官と東京家庭裁判所判事補の職を兼務することとなった佐田寅子(ともこ/伊藤沙莉)。家庭裁判所の広報のために歌を披露した歌手、茨田りつ子(菊地凛子)がラジオで寅子の名前をあげたこともあり、一躍時の人となって大忙しの毎日を送っている。

 しかしここで不穏なのが、小学生となった優未(ゆみ/竹澤咲子)との関係だ。家に帰ってからも仕事に没頭する寅子をそっと見つめる姿や、一緒に暮らすいとこたち(琉人・楠楓馬)と遊びながら、さみしさを背中で語る姿が視聴者の涙を誘う。

 寅子は最高裁長官・星明彦(平田満)の著書『日常生活と民法』を、星の息子である航一(岡田将生)とともに手伝い、「補修」として名前が表紙に載る。仕事の楽しみと充実感を寅子が存分に感じているからこそ、優未との距離感が際立つのだ。また、優未のさみしさに寅子がいまいち気づいていなさそうなのも、視聴者がもどかしいと感じている点だ。

 特に7月3日放送の第68回は物議を醸した。