「なんで怒ってるの?」は禁句…あなたの“正論”が相手の地雷を踏んでいる危険なサイン
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【精神科医が教える】なぜか急に“逆ギレ”する人の本音と絶対やってはいけないNG対応Photo: Adobe Stock

なぜか相手が急に怒り出すとき

皆さんは、自分の考えを述べただけなのに、相手が急に怒り出したり、逆ギレされたりした経験はないでしょうか。

こちらとしては相手を非難しているつもりはなく、純粋に自分の意見を伝えているだけなのに、なぜか相手が感情的になってしまう。そうした場面では、「なんでそんなに怒っているのだろう?」とイライラしたり、戸惑ったりしてしまいます。

しかし、ここで真正面から反論してしまうと、口論や喧嘩に発展してしまいがちです。では、このような時、私たちはどう考え、どう対処すれば良いのでしょうか。

逆ギレの本当の理由
それは「図星」だからかも

急に相手が逆ギレしたり、謎の怒り方をされたりした時、私はこう考えるようにしています。「私の言ったこと、たぶん図星だったんだろうな」と。

人は、自分にとって「耳の痛い言葉」を言われると、つい感情的になってしまうものです。つまり、相手が怒り出したのは、あなたの言葉が相手の核心を突いてしまったから、という可能性が高いのです。

なぜ「図星」を突かれると怒るのか

人は誰でも、自分を守りたいという気持ちを持っています。耳の痛いことを言われた時、人は「防衛機制」から、その言葉を否定したくなります。

特に、自分の気持ちを保つことを非常に大切にする、防衛的な傾向が強い人は、自分を正当化しようとします。そのため、こちらに悪気はなくとも、相手が無意識のうちに「これは自分のことだ」「まずいな」と感じれば感じるほど、かえって怒りという形で反撃してくるのです。

逆ギレされた時の正しい対処法
「図星かも」と思って身を引く

相手が怒ってきた時、それはこちらを非難しているわけではありません。純粋な意見交換のつもりが、意図せず相手を傷つけてしまったのです。

このような時は、「ああ、これは図星だったんだな」と心の中で理解し、一度身を引くのが賢明です。

なぜなら、図星を突かれて怒っている人は、自分を守ることに必死な状態だからです。追い詰められた猫が威嚇するように、必死に自分を守ろうとしている人は攻撃的になっています。そこでさらに言葉を重ねてしまうと、相手をさらに傷つけ、手痛い反撃を受けたり、深く嫌われたりしかねません。

たとえあなたの言っていることが正しくても、それを相手に突きつけて良いとは限らないのです。

相手の心には届かない
議論は避けるべき

相手が逆ギレしているのは、全身であなたの言葉を否定しているサインです。この状況が理解できないと、理屈で説得しようとしたり、ディベートのように議論を始めたりしてしまいがちですが、これは双方にとって良い結果を生みません。

自分を守る態勢に入っている人に、他人の言葉は届きませんし、そもそも聞く気がありません。ですから、相手が怒り出したら、「この話題は、この人にとっては図星なのだな」と察し、さりげなくその話題を取り下げるのが良いでしょう。

正論を振りかざすことの危険性

もし相手との良好な関係を続けたいのであれば、一度相手が強く反応した話題には、あまり触れないほうが賢明です。相手が変わるタイミングが来るかもしれませんが、それはあなたが無理に変えようとすることではありません。

相手が怒り出した時は、カッとなるのではなく、「図星だったんだな」と冷静に受け止め、一度引きましょう。たとえそれが正論であったとしても、無理に押し通そうとすべきではありません。

この理屈が分からずに、相手の傷口に塩を塗り込むように、正論で追い詰めてしまうのは非常に危険な行為ですので、注意が必要です。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。