
米メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が先日、人工知能(AI)を搭載した分厚く黒い眼鏡を掛けてステージに登場した時、アップルのiPhoneにとって将来ライバルになり得る製品と見なす人もいた。
一方で、米実業家イーロン・マスク氏とのロボットを巡る競争の新たな戦線が開かれる可能性を感じた人もいる。
最近のシリコンバレーでは、さまざまなテック界の帝王たちがどのように互いを出し抜こうとしているのか、その時々に何を巡って競争しているのかを把握するのは困難だ。かつてはイタリアのコロッセオ(円形闘技場)で格闘技の「金網マッチ」に臨むかと思われたマスク氏とザッカーバーグ氏の対決は、時代を画するものになる可能性がある。ビル・ゲイツ氏と故スティーブ・ジョブズ氏の確執に匹敵するものだ。
しかし、これまで両者の争点は比較的小さなものにとどまってきた。主に、男らしさや財産の大きさに関して自慢する権利をどちらが持っているかという程度の話だった。2023年にメタがマスク氏の「X」に対抗するテキストベースのソーシャルメディア「スレッズ」を導入したことで、争いに実質的な内容が加わった。
今、ザッカーバーグ氏のメタとマスク氏の電気自動車(EV)大手テスラがヒューマノイド(人型)ロボットを巡って衝突に向かっているとすれば、事態は本当に興味深くなる可能性がある。
注目を集めるのがうまいマスク氏のおかげもあって、ヒューマノイドロボットはテック業界で特に熱い分野になっている。