「死にたいほど悩んでいるあなたへの解決策を5分で話しましょう」なんて、とてもじゃないけど私にはいえません。相談してくださる方だって、そんな“即席回答”では決して救われないでしょう。
もとより私は、こう話したら「ウケそうだ」とか、「登録者数が増えるのではないか」といった「やりよう」については、1ミリも考えていません。
私は「悩み苦しむ方の気持ちに寄り添い、心の重荷を少しでも軽くする力になりたい」という思いで、お話をさせていただいています。
そういう「ありよう」を大切にしているから、閲覧者のみなさまといい関係を築けるのだと自負しています。
「やりよう」を離れて「ありよう」に立ち返る。
それが人間関係を好転させることにつながると私は考えます。
あの人と距離を置くべきとき、縮めるべきとき
たとえば仕事だと、自分一人で完結するものは、ほとんどありません。会社にはたくさんの社員がいて、部署やプロジェクトごとに、あるいは全社一丸となって、関係する人みんなが力を合わせて仕事をしています。その人間関係は社内にとどまらず、取引先や外注先など、外部の人たちにも及びます。
いまはフリーランスとして「一人親方」的に仕事をする方も増えていますが、そういう人たちだってさまざまな会社や個人の協力を得て、仕事をしています。
つまり、一つの仕事に関わる人たちが互いに、自分の持てる力を最大限発揮しながら、足りないところは補い合っている。そういう関係性がなければ、成果が得られないどころか、仕事そのものが完結しない、ということです。
いまはよく、
「仕事上の人間関係はベタベタのなれ合いになってはいけませんよ。互いにあまり深く入り込まないようにしたほうが、人間関係はうまくいくし、いいパフォーマンスが得られますよ」
などといわれます。
たしかに「淡交」という言葉があるように、人間関係には「水のようにさっぱりとしたつきあいのほうが長続きする」という部分があります。
仕事においても、「つかず、離れず、適度な距離を置いてつきあう」のが基本でしょう。これも一つの「離れる力」といえます。