バーニーズ・ニューヨークPhoto:Sipa USA/JIJI

23年5月、ラオックスホールディングスはセブン&アイ・ホールディングスから高級アパレルショップ「バーニーズ・ニューヨーク」を展開するバーニーズジャパンの全株式を取得した。バーニーズはラオックス傘下でどう生まれ変わるのか。代表取締役社長のペニー・ルオ氏に新戦略を聞いた。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

ラオックス傘下で再成長へ
売るのはアパレルだけではない

 高級アパレルショップ「バーニーズ・ニューヨーク」を展開するバーニーズジャパンが、ラオックス傘下で富裕層向け事業を強化している。

 1890年代、「バーニーズ・ニューヨーク」の店舗は、流行の最先端を行くブランドが集まる場所であり、多くの日本の若者が憧れの眼差しでショーウインドーを眺めたものだった。

 米バーニーズ・ニューヨークは、1923年に米ニューヨーク・マンハッタンで誕生した。日本では、89年に伊勢丹がマスターライセンスを取得し、子会社としてバーニーズジャパンを設立。翌90年に新宿本店、93年に横浜店をオープンすると、感度の高い若者が押し寄せた。

 しかし、H&MやZARAなどのファストファッションやユニクロの台頭により、高級アパレルショップは若者が足を運ぶ場所ではなくなった。

 2006年、事業の選択と集中を進めていた伊勢丹は、バーニーズジャパンの全株式を住友商事と東京海上キャピタルの運営する投資ファンドに売却。さらに15年までにセブン&アイ・ホールディングス(HD)が2社から株式を取得し、完全子会社化した。

 その後、23年5月にラオックスホールディングスが、セブン&アイHDから全株式を取得し、現在に至る。官報によると、23年2月期の売上高は前期比10%減の127.1億円で、7.7億円の最終赤字。売上高は18年2月期の212.9億円と比べると、約6割の水準に落ち込んでいた。

 米バーニーズ・ニューヨークは19年8月に米連邦破産法11条の適用を申請し、経営破綻。現在、米国にバーニーズ・ニューヨークの店舗は存在していない。そのため、銀座本店はグローバル旗艦店という位置付けだ。

 バーニーズジャパンはラオックス傘下でどのように再浮上を目指すのか。リニューアルオープンした銀座本店には、従来の店頭にはなかった手に取りやすい価格帯の商品が並び、“脱高級アパレルショップ”ともいえる売り場に生まれ変わっている。

 しかし、新生バーニーズにとって、売り場の刷新は再生戦略のごく一部に過ぎない。代表取締役社長のペニー・ルオ氏が再浮上に向けた2つの大胆施策を明かした。

バーニーズ・ジャパン代表取締役のペニー・ルオ氏バーニーズジャパン代表取締役のペニー・ルオ氏