欧州連合(EU)は、迅速な意思決定や政治的影響力の行使に苦慮しているが、法律の抜け道や金融手法を駆使することには長(た)けており、それをロシアに対抗するウクライナ支援に活用しようとしている。EU首脳は1日、ウクライナに返済義務を負わせない形で、数千億ドル規模のロシア資金の活用計画を進めることで合意した。承認されれば、ロシア資産の扱いに関する戦争初期の政策が覆されることになる。EU首脳は3年間にわたり、ロシアの凍結資産、約3000億ドル(約44兆1000億円)をウクライナ支援に活用する方法を模索してきた。EUと欧米のパートナー国は、ロシアが2022年に隣国ウクライナに侵攻した直後にこれら資金を凍結していた。ロシア中央銀行が欧州、日本、米国に投資していた資金の約3分の2は、ベルギーに拠点を置く巨大な国際決済機関であるユーロクリアが保有している。