潮だまりを網でさらうだけでヤドカリやハゼが簡単に採集でき、岩をひっくり返せばカニやヒトデやウニ、そして岩の隙間にイソギンチャクやタコが見つかることもある。磯の生物は比較的水温や水質の変化にも強く、丈夫で飼いやすいから、展示生物として優秀だ。
テンプライソギンチャクも、三重県では鳥羽水族館(三重県)のスタッフの磯採集によってはじめて発見された。彼らの慧眼、非常に頼りになる!
(3)網
採集対象:小魚、エビ、水生昆虫、プランクトンなど
魚はもちろん、エビ類や、クラゲなどのプランクトンまで採集することができる方法。使う網は、たも網から金魚網、投網(とあみ)、そしてプランクトンネットまで多岐にわたる。また、淡水域では網での採集がかなり効果的で、川魚、エビ、水生昆虫などが採集できる。
例えば、沖縄美ら海水族館(沖縄県)では、地元漁業者の協力のもと追い込み漁のような採集で展示する魚を採っているらしい。沖縄のイノー(サンゴ礁の中にある池のような潮だまり)で網を張っての採集、大変だろうけど面白そうだな。
生物の採集には
釣りや素潜りといった手法も
(4)釣り
採集対象:大型の魚類、イカやタコなど
根強いファンの多い釣り。実は、水族館の魚類を採集する際にも行われる。釣りで採集する場合、硬い口の部分に釣り針がかかるだけなので、体表が傷つく網を使うよりもきれいに魚を採集できる利点があるとか。特に大型の魚に関しては、釣りで一気に引き上げたうえできちんとケアを行えば、非常に活きのいい状態で展示にデビューさせることができる。
もちろん、大事な展示生物の口を傷つけないように、針の返しは潰しておく。また、イカはエギ、タコはテンヤで引っかけて釣れば、デリケートな体への傷を抑えて採集できる。
というか、「ただ釣りに行きたいだけだろ?」というぐらい、釣りが大好きな飼育員さんもいる。某水族館の館長はよく釣りに出かけているらしく、SNSでネタにされているのを見かける。
(5)素潜り
採集対象:イソギンチャク、ヒトデ、ウニ、カニ、エビなど
シュノーケルをつけて海に飛び込み、足が立つ範囲から素潜りで行ける範囲までの生物を採集する。