いろいろな生き物が展示されている水族館写真はイメージです Photo:PIXTA

いろいろな生き物が展示されている水族館だが、あの生物たちは一体どこから入手しているのか疑問に思ったことはないだろうか?実は、その入手方法は多種多様。生き物が水族館にやって来るまでのちょっと意外な方法を紹介する。※本稿は、泉貴人『カラー版―水族館のひみつ―海洋生物学者が教える水族館のきらめき』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

網やひしゃく、バケツを使って
小さな生物たちを採集

 水族館が川や海の生物を入手する方法は、非常に多岐にわたる。

(1)岸壁採集
 採集対象:小魚、イカ、クラゲなど

 最も原始的なものは、ズバリ、肉眼で見て採集する方法だ。

 例えば、港の岸壁の上から見ると、小魚の群れ、小さなイカなど、手の届くところに生物が見える。それらを網やひしゃくで掬い、バケツに収容して持ち帰る。

 この方法で一番多く採集されるのがクラゲ類であり、飼育員さんは潮位表や風予報とにらめっこしながら、クラゲが港に入って来る時間を読む。そして、目についたクラゲを掬っていくのだ。熟練者にもなると、岸壁の上から身の丈わずか数ミリしかないクラゲが見えるらしい。いったいどんな眼をしているのやら(笑)。

(2)磯採集
 採集対象:イソギンチャク、ヤドカリ、カニ、ヒトデ、ハゼなど

 レジャーとしても大人気の磯採集。素人でもいろんな生き物が見られるぐらいだから、プロの水族館スタッフの手にかかれば、実に様々な生き物が採集できる。