個人投資家の間で大きな支持を集めるのが『株トレ』シリーズです。シリーズ第2弾の『株トレ ファンダメンタルズ編』では、60題のクイズを通じて「業績や財務の読み方」を学べます。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之さん。本稿では、窪田さんに「株式投資のセンスを磨くクイズ」を出題してもらいました。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

株式投資のセンスを鍛えるクイズに挑戦!
2025年2月3日の株式取引時間終了後、12月期決算のA社が、決算発表を行いました。
A社が発表した「前期実績(2024年12月期)」と、「今期業績予想(2025年12月期)」は、次の通りです。

翌営業日の取引では、A社株は寄付で、前日比200円安の3,402円となりました。
チャートは次の通りです。

この時点で、A社株の予想PERは何倍?
あなたなら、「買い」、「売り」、それとも「様子見」?
※A社はクイズのために設定した架空の会社です。
1株当たり利益に対して、株価が何倍であるかを示す指標。倍率が高いほど株価は割高。
正解は……
予想PERは27倍。判断は「売り」。
PERを計算する
予想PERは次のように求められます。
[予想PER]
=[株価]÷[1株当たり利益(2025年12月期予想)]
=3,402÷126円
=27倍
ちなみに、前期実績をもとにした実績PERは、次の通りです。
[実績PER]
=[株価]÷[1株当たり利益(2024年12月期実績)]
=3,402÷243円
=14倍
通常、「PER」と言った場合は予想PERを指します。実績PERを株価指標として使うことは、ほとんどありません。
決算で見るべきは「前期実績」ではなく「今期予想」
投資家が注目するのは、前期の実績よりも今期の業績予想です。
決算発表前に株価が上昇していたということは、「好決算」が期待されていたのでしょう。ですが、「今期は大幅な減益の予想」と発表されました。
株価は急落し、PERは27倍まで上昇しました。ここから、さらに売られる可能性が高いでしょう。
ここでの投資判断は、「売り」です。
