
今年10月の大量満期で危惧される
火災保険の「2025年問題」
今年10月、火災保険料が大幅な改定の時期を迎える。自然災害の増加や修繕費の高騰を背景に、2015年に最長10年で契約した火災保険が満期を迎えるためだ。火災保険における「2025年問題」とも呼ばれ、多くの契約者が負担増に直面する事態が危惧されている。
世間の関心は個人の家計負担に集まりがちだが、マンション居住者にとって、実はより根深く、そして影響が大きいのが、管理組合が加入する「マンション総合保険」(共用部保険)である。なぜなら、個人の保険が自己の裁量の範囲に留まるのに対し、共用部の保険はマンション全体の資産価値、ひいては居住者間の円滑なコミュニティ維持の根幹をなしているからにほかならない。
しかし、その実態は多くの居住者にとって「見えざるコスト」となっており、見直しを怠ったまま放置されているケースが少なくない。これは単なるコストの問題ではなく、マンション全体の資産価値、その未来を左右する重要な分岐点なのである。
資産価値の原点となる
個人の火災保険から再チェック
話の入り口として、まずは身近な個人の火災保険について整理しておきたい。これはマンションの専有部分、つまり自身の居住スペースを対象とする保険だ。火災はもちろんのこと、さまざまな特約を付帯すれば補償範囲が広がる。代表的なのが、上階からの水漏れ被害などを補償する水ぬれに関する内容や、偶然の事故で壁に穴を開けてしまった場合などに適用される破損・汚損についての特約だ。
特に後者の破損・汚損に関連する特約は、予期せぬ「うっかり事故」をカバーするもので、子どもがドラム式洗濯機のドアにひびを入れた、ベッドを壊してしまったといった意外なケースで保険金が支払われた事例もある。保険料負担が増えるからといってこうした特約を安易に外すのは早計だ。