医療用医薬品として効能が認められているのは肝機能改善(高ビリルビン血症)、心不全治療(うっ血性心不全)および、ミトコンドリア病の代表的な病型の1つであるMELAS(ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群)における脳卒中様発作の抑制です。

 これ以外に、ヒト試験において血圧低下作用などが論文で報告されています。

 例えば、心不全患者を対象にした試験で、タウリン1日3グラムを6週間投与したところ、心不全特有の息苦しさや動悸、疲労しやすさといった自覚症状、むくみや腹水などの症状が改善されました。

 これはタウリンが弱った心臓の収縮を助けることで心不全の諸症状が改善したものと考えられています。

 また、高血圧との関係でも様々な試験が行われています。

 例えば高血圧の患者に1日6グラムのタウリンを投与したところ血圧の低下が確認できたという研究や、尿中タウリン排泄量の調査から、高血圧患者の体内でタウリン量の低下が確認できたという研究が知られています。

 さらに、高血圧患者に1日60分の運動を週3回、10週間継続してもらった結果、血圧が低下するとともに血中のタウリン量が増加したという研究もありました。つまり、増加したタウリンが血圧の低下に寄与した可能性があるということです。

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 もちろん、医学的に承認されるところまで行ってはいないものの、有効性が期待されている効果もたくさんあります。そのひとつが、運動能力の向上です。

 体内のタウリンは6~7割が筋肉に存在し、そこでタウリンは筋肉の収縮を助ける役割を果たしているのです。筋肉の収縮にはカルシウムが必要なのですが、タウリンにはカルシウムを引っ張ってくる作用があります。

 また、タウリンは持久力を発揮する際に使われる遅筋に多く存在しており、脂肪燃焼を促進しエネルギー産生を高める働きもあるのです。

 実際、タウリンを何日間か投与したマウスは動きが俊敏になるようで、マウスが元気で手で掴みにくくなっているというような話を研究者の間でよく耳にします。