恋に落ちた瞬間は、誰もが「運命だ」と信じたくなる。相手の一言に心を預け、一喜一憂する。しかし、本当に欲しかったのは“彼の言葉”ではなく、“自分を救う言葉”だ。そんなあなたにおすすめなのが、日韓累計40万部を突破したベストセラー『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』(キム・ダスル著、岡崎暢子訳)だ。本記事では、ライターの有山千春氏に、「他者との向き合い方」についてご寄稿いただいた。(企画:ダイヤモンド社書籍編集局)
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1分300円の占いに課金
過去に好きだった男性が、気持ちいいほど欲しい言葉をくれる人だった。
「こういうところは、君としか来ないよ」
「君に喜んでほしくてやっているんだよ」
「君のことは、全部受け入れているから」
それまで、そんな言葉を筆者に向ける男性はひとりもいなかった。
まるで恋愛ドラマの主人公になったように、舞い上がった。
たびたび会い、ときめきながら楽しくすごし、完全に恋に落ちた。
が、その後はすぐに、そうした言葉はなくなり、こちらからの連絡が多くなると、わかりやすく避けられ、あんなに優しかった彼が理由もわからず去ってしまった。
事実を受け止めきれず、1分300円の占いに課金しては、次々と自分に都合のよい言葉をくれる占い師を探しては課金して……を繰り返した。
占い師に聞いても、彼の行動の意味はわかるはずもなく、行き場のない執着心だけが泥のように沈殿した。いわゆる、病んだ状態だ。
「あのときのあの言葉はなんだったの。ウソつき。全部受け入れてるって言ったのに」
夜な夜なベッドの上でそればかりを反芻し、のたうち回った。
他人の言葉に「期待しない」
あのころの自分に会いに行けるのならば、『人生は「気分」が10割』に掲載された「『あのときの言葉』を引きずるな」のページで顔をひっぱたいてやりたい。
このトピックには、こんな「あのときの言葉」が羅列されている。
「本気も本気だから」
「ずっとずっと一緒だよ」
「信じてほしい」
「キミを守りたい」
「幸せにするよ」
うわあ、言われた言われた! 言いがち言いがち! と全力で頷きたくなる言葉たち。
初めからウソだった言葉もあれば、最初は本心だった言葉もあるだろう。
人間だもの、心変わりは当然だ。
だから、引きずったって意味がないことは今となってはわかる。
本書では「相手が変わるだけで毎回同じ言葉が繰り返されるだけ」「真の愛に巡り合えるのは一生に一度あるかないかという話」と、のたうち回る当時の筆者を落ち着かせるように教えてくれる。
そしてそんな言葉には「次の恋愛こそが真の愛であってほしい」という切実な願いから、「毎回同じ言葉を繰り返す」という背景もあるのだとつづられている。
なあんだ、相手もわたしと同じように必死だっただけなんだ。
と、そんなことにあの頃気づけたらよかったのになあ。
(本稿は、『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』の発売を記念したオリジナル記事です)
メーカー広報、出版社編集者を経て2012年よりフリーライターに。主に週刊誌やWEBメディアで取材記事やインタビュー記事を執筆。昨年より高田馬場の老舗バーにてお手伝い中。



