令和の日本に響く
「鉄の女」の教訓
サッチャー元首相のこの決断は、単なる過去の歴史的逸話ではありません。
それは、リーダーシップの本質を現代に問いかける普遍的なケーススタディと言えるでしょう。
「日本のサッチャー」に求められるもの
政治と無縁のサラリーマン家庭で育ち、「鉄の女」と呼ばれるサッチャーに憧れた、日本初の女性首相になる可能性のある自民党総裁の高市早苗氏。彼女に期待されるのは、サッチャーのような強さや断固とした姿勢だけではないはずです。
その根底にあるべきは、国家と国民に対する深い責任感と、困難な課題から逃げないという「覚悟」に他なりません。
決断を支える「聞く力」
サッチャーが海軍参謀長の意見に即座に耳を傾けたように、真のリーダーは自らの知識の限界をわきまえています。そして、専門家の知見を尊重し、それを迅速かつ的確に判断材料とする能力を持っています。
独断専行ではなく、確かな情報と信頼に基づいた意思決定こそが、組織を正しい方向へ導くのです。
あなたの「タスクフォース」は誰ですか?
この教訓は、政治家だけのものではありません。ビジネスや日々の生活においても、私たちは常に大小さまざまな決断を迫られます。
情報が不足し、不安に駆られるとき、あなたには信頼して意見を求められる専門家、つまり自分だけの「タスクフォース」はいるでしょうか。
サッチャーのリーダーシップは、困難な時代を生きる私たち一人ひとりにとって、判断に迷ったときに立ち返るべき原点を示してくれています。それは、責任を引き受ける覚悟を持ち、信頼できる人々の声に耳を傾け、そして、やるべきことを断固として実行する勇気なのです。
※本稿は『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。