そんな私の目に飛び込んできたのは、テレビのニュースで就職説明会に長蛇の列を作る女子学生の姿です。「超・氷河期」という言葉が躍っていました。「氷河期」は以前も訪れているので、それを超えるという意味で「超・氷河期」と言われていたのだと思います。

 バブル崩壊で急激な不況に見舞われた企業は、社業を守るためにコスト削減を余儀なくされました。ですが、できる限り既存の社員の首を切りたくない。そうなると、採用を減らす、または止めるということで、社員数維持を図ったわけです。そこで人減らしの第1のターゲットとなったのが女子学生でした。就職したいのに…と不安そうに企業の説明会に並んでいる女子学生の姿を見ていると、それはまるで10年前の自分のように思えてきました。

 私が就職した10年前、1983年も不況で氷河期と言われたのです。しかもまだ男女雇用機会均等法の制定前であったため、男子と女子の就職差別は甚だしく、同じ大学・学部を出てもあまりの扱いの違いに「梯子を外された」気分でした。壁三面に貼られた求人は男子学生向けのもので、女子向けのものはほんの一隅、10分の1しかありません。「超・氷河期」の彼女たちの困惑が「氷河期」の私には他人ごとには思えなくなっていました。

人事担当としての経験を活かして
キャリアコンサルタント業を始動

 大行列のニュースを見て、私は「彼女たちの役に立ちたい」と思い、「今の私なら役に立てるかもしれない」と思ったのです。会社員として10年働き、昇進もし、人事も経験した。結婚出産というライフイベントも通ってきた。何より大きかったのは人事担当としての経験です。採用面接をする側の立場から、学生にアドバイスができると考えました。それから学生の就職をサポートするにはどうしたらいいか、リサーチが始まりました。