燃えるかまどの前の北川景子の氷の微笑み
「そうじゃない」♪
「一日一反」の張り紙まで貼られている工場のなかで女工たちが噂話。雨清水家の女中が暇(いとま)を出された。「わたしたち(女工)もいつまでおられるかね……」と不安な気持ちが皆の心にもたげていた。
とそこへ、あきらかにいきなり体調が激しく悪そうな傅が顔を出す。工場に顔を出したものの、ふらふらっと足取りがおぼつかない。こういうとき、トキを頼り、自分に身を預けてくれないことをさみしく思う三之丞。
傅も傅で、三之丞に急に工場を任せたのだから、氏松のいないいま、もっと三之丞を頼ればいいのに、それも武士の矜持なのだろうか。武士は何かと面倒くさい。
傅は無理がたたって倒れてしまう。でもそのとき三之丞は一瞬心配するがそれ以上踏み出せない。所在なさげな背中(法被に雨と書いてある)が映し出される。もういいよ、どうせトキに面倒を見てもらえばいいと思ってしまったのだろうか。
こうして傅は寝込んでしまう。
心配してトキが雨清水家を訪ねる。台所口まで来て、ん? という顔をして、きょろきょろとあたりを見回し、台所のドアを開けると、タエが立っている。
かまどがメラメラと燃えているが、タエは動じることなく、冷静に、むしろ微笑んで立っている。こわい。『あなたを奪ったその日から』(カンテレ制作 フジテレビ系)で北川景子が演じていた役的な怖さだ。それはどんな怖さかと言うと、自分の子どもが亡くなった復讐に相手の子どもを誘拐してしまう怖さだ。
トキは慌てて水をかける。
「せっかくの粥(かゆ)が」とがっかりするタエ。状況をまったくわかっていない。むしろ、トキを叱る。
釜のなかのにおいを嗅ぐとこげくさいのだが、タエは意地を張って自分でやると言って聞かない。
そういえば、『マッサン』でもエリーがご飯を炊くのに一苦労していたことがあった。
諦めたトキは、タエの気の済むように放っておこうと台所を出て帰りかけると三之丞が帰ってきた。
焦げたニオイにすぐ気づく三之丞「なにこのニオイ」
女中がいなくなって、今朝「信じられないかもしれないけど、女中がいなくなり今朝はじめてふすまをひとりで開けたと言っていた」。お嬢すぎるにもほどがある!
なんでも自分でやるというから任せるしかないと諦め気味の三之丞。
「おばさまには無理でございます」と心配するトキに、「ならどうすればいいんだよ」「なんでもかんでもおしつけないでくれ」と声を荒げる。工場のことも家事も介護も、これまた現代の若者に覆いかぶさってきているしんどさと同じようだ。がんばれ三男坊。









