授業中「“内職”しても東大受かる人」と「自己流で失敗する人」の決定的な違い『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第92回は、大学受験生が取るべき「授業中の態度」について考える。

授業を真面目に聞く方が「安全」だが…

 東京大学現役合格を目指す藤井遼は、模試で合格可能性が予想を下回るD判定だったことにいら立っていた。担任の水口圭輔に授業態度を改めろと言われるが、逆ギレをして教師をバカにするのだった。

 授業態度が良いと受験に合格するかと言われれば、残念ながらそんなことはない。

 授業中に内職(他の科目の勉強をすること)をして東大に合格する人もいれば、授業中ゲームばかりして医学部に行った同級生もいるし、その逆もしかりだ。ある進学校では、授業を聞いている人よりも塾の課題をやっているか寝ている人の方が多いという。

 だが、だからといって授業をおろそかにしていいわけではない。というのも、大多数の人にとっては、授業を真面目に聞く方が「安全」だからだ。

 大前提だが、授業を放棄しても勉強ができる人は自分でスケジュールを立てられ、自立してこなせる人に限られる。さらに、授業は基本的に自分が属する集団に適した量・レベルのものが提供される。

「頑固な自分」がいない限りは授業を放棄するのは危険だと言える。例えばわからない問題があって先生に質問しに行く時でも、普段から授業を聞いていて――少なくとも先生側からはそう見えて――いる先生の方が心理的ハードルは低い。

「私はあなたの授業を聞きませんが、わからないことがあれば質問しに行きます」と高らかに宣言できる人は少ないし、それを受け入れてくれる先生も少ない。信頼できる質問先が別に確保できるならいいが、そうでない場合は授業を放棄するのは得策とは言えない。

寝るのは“ハイリスクローリターン”でしかない

漫画ドラゴン桜2 12巻P93『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

 もちろん例外がいくつかある。先述したように、学校の授業は「基本的に」自分のレベルに合っている。極端にレベルが低い場合や高い場合は、自分でやる方がいい。また、塾の宿題が極端に多い人は、受験のためだと割り切ってそちらに集中するのも選択肢としてはありだ。

 いずれにしても「授業の内容は聞かなくてもわかる・自分の目標のためには必要ない」ことが明らかで、最後までその方針を貫ける場合に限る。

 よくないのが、周りの友達が授業を聞かないせいで、つられて授業を聞かなくなってしまうことだ。そもそも友達に「つられて」いる時点で他人に影響されやすいのだから、自分独自の勉強方針を確立しづらい。「わかったふり」をして見よう見まねで自分で勉強しても、大抵は失敗する。

 また、授業中に寝るのはよくない。これは何も優等生ぶっているのではなく、授業中の睡眠は非常にハイリスクローリターンだからだ。時間は短いし、先生に怒鳴られる可能性があるのに、睡眠の質は高くない。内職をしていた方がましである。

 優等生っぽく見られているし、先生の信頼は壊したくないけど、内職したい。そういう場合はどうすればいいだろうか。雑談が多い授業だったり、わかる問題とわからない問題が交互に来たりする授業もあるだろう。

 そんな時におすすめなのが、英単語や社会科目の一問一答だ。特に最近は電子辞書に内蔵されていることが多く、先生の目を気にすることなく自然と学習できる。さらに、1つ1つの項目に割く時間が短いため、中断しても大丈夫だ。

 内職はダメだとは思わない。ただ、やるなら自分の勉強法を確立して効率的にやるべきだ。

漫画ドラゴン桜2 12巻P94『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
漫画ドラゴン桜2 12巻P95『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク