「お守りの水」で二日酔いが治る――そんな馬鹿げた話、と思うかもしれません。けれども、言葉の力が脳と行動に驚くほどの影響を与えることが、心理学的にも証明されています。
話題の書籍『奇跡が起きる 毎朝1分日記』の著者・三宅裕之氏は、「言葉の力が脳に驚くほど影響を与え、行動や成果を変える」と語ります。

言葉ひとつで脳が変わる
私がよく紹介する例に、ただの水を「二日酔いに効く湧き水だよ」と伝えると、本当に体調が軽くなるというものがあります。これは“プラシーボ効果”と呼ばれ、医学研究でも繰り返し確認されてきた現象です。
言葉が脳の期待を動かし、身体感覚や気分にまで影響を及ぼしてしまうのです。上司の声かけも、まさにこの仕組みと同じです。
期待は人を伸ばす
ご存じの方も多いと思いますが、教師が「この子は伸びる」と思って接すると、実際に学力が伸びる「ピグマリオン効果」があります。
ビジネスでも同じで、上司が前向きな期待を言葉にすると、部下の潜在能力が引き出されやすくなるのです。これは単なる気分ではなく、心理学的に証明された「自己成就予言」の一つです。
否定形は逆効果
一方で「遅れるな」「ミスするな」といった否定形の声かけは逆効果。人は「ピンクの象を想像しないで」と言われると、必ず象を思い浮かべてしまいまよね?
心理学では「思考抑制の逆説効果」と呼ばれ、禁止語がかえって意識を強めることがわかっています。ですから「ミスするな」ではなく「落ち着いてやれば必ずできる」と言葉を置き換えることが大切です。
前向きな感情が力を広げる
承認の言葉をかけるときは、できるだけ具体的に伝えましょう。「助かったよ」より「締切の前日に資料を出してくれたから安心できた」と言う。すると相手の脳は安心や達成感を覚え、次の挑戦に意欲的になります。
心理学では“拡張‐形成理論”と呼ばれ、ポジティブな感情が集中力や創造性を広げ、長期的にスキルや人間関係といった「資源」を築いていくことがわかっています。
朝1分の「浅かつ」で習慣化
私が主宰する無料オンライン朝活では、最初に1分瞑想で心を整え、その後「昨日のグッド」と「今日のチャレンジ」を一言でシェアし、最後に1分日記を書きます。
これを毎朝続けることで、自然と肯定的な言葉が習慣化し、期待と承認がチーム全体に伝染していきます。
心理学的にも、毎日の小さな「ポジティブ体験の積み重ね」が幸福感と生産性を大きく高めることが実証されています。
言葉は無料ですが、脳を動かす最強のマネジメントツールです。今日から「禁止語」をやめ、「望む行動を具体的に」「事実で承認」「可能性を示す」この3つを意識して声をかけてみてください。部下のやる気も、チームの成果も大きく変わっていきます。