ドラッグストアで最近よく食料品を見かけるのはなぜ?→「そういうことか!」と思える納得の理由写真はイメージです Photo:PIXTA

今、ドラッグストアが“スーパー化”している。弁当・惣菜・冷凍食品が並び、もはや薬や化粧品を買う場所ではなく、食卓を支える生活の拠点になりつつあるのだ。しかし、スーパーに対抗するにはさまざまな課題がまだある。実は壁を打開するポイントの一つが、意外な技術にあった。(フードコンサルタント 池田恵里)

来店頻度を上げたいだけじゃない!合理的な狙いとは

 ドラッグストア(以下、ドラスト)の食品比率が近年どんどん上がってきている。2019年頃から上昇を続け、2020年には平均30%を超え(図1参照)、売場はスーパーさながらの様相を呈している。

 ドラストはなぜ食品を増やしているのだろうか。

「来店頻度を上げるため」という回答も多いが、それだけでは今日のスピード感は説明しきれない。

 実は、この変化の背後には、在庫1円あたりの粗利生産性=交叉主義比率(粗利率×売価在庫回転率。後半で解説)を押し上げる、という冷徹で合理的な経営ロジックがある。

 確かに、過去のデータを見ると、食品を売ることは、来店頻度の増加に貢献しているが、それだけではない。来客層にも影響している。

 調査会社DIMSDRIVEによれば、2019年時点で週1回以上ドラストを訪れる割合は、20代男性41.1%、30代男性40%と、同年代女性の割合を上回った。

 食品の導入によって男性顧客が増えたということも言えるが、同時にもともとコスメを購入する女性中心だった客層が少なくなりつつあるということが言える。新型コロナにより、自宅待機する女性が増え、マスクにより化粧する頻度が減ったからだ。

 また、経済産業省「商業動態統計」を見ると、2019年から2024年にかけてドラスト全体の食品販売額は約1.5倍に拡大している。1店舗あたりの食品販売額も14億9500万円へと伸長しているのだ。

ドラッグストアで最近よく食料品を見かけるのはなぜ?→「そういうことか!」と思える納得の理由図1 経済産業省「商業動態統計」より著者が再構成 拡大画像表示

 しかしドラストが目論む「真の狙い」は、在庫効率にある。