
原料高騰の波は、スーパーの惣菜売場にも押し寄せている。価格を上げたことで、顧客の購買行動に明らかな変化が出始めているのだ。今やスーパー各社は、POSデータ(販売時に得られるさまざまな売り上げデータ)やクラスター分析を駆使し、顧客属性を抽出して商品提案に反映している。それでもなお「売れない」商品が出てきてしまうのはなぜか。(フードコンサルタント 池田恵里)
顧客はスーパーの買い物にシビアになった
「最近、価格を上げたことで、めっきり売れなくなった」
スーパー関係者から、こうした声が多く聞かれるようになった。スーパーを取り巻く環境が年々厳しさを増しているのだ。
かつては同一商圏内での競合は、主にスーパー同士が中心だったが、今やドラッグストアや業務スーパーまでもがライバルとなっている。実際、同一商圏内にはスーパーに加え、食品に力を入れるドラッグストアがひしめきあっているのが現状だ。
さらに高齢化が進む中、顧客の行動範囲はさらに狭まり、顧客は同一商圏内のスーパーの価格を敏感に見比べ、選択が広がっている。
実際、顧客の多くは、1店舗に留まることなく、全体の74.7%は複数のスーパーマーケットで商品を選んでいる(「スーパーマーケット白書2025年」より)。
たとえ値ごろ感を打ち出しても、顧客にとって響かない場合が出ているのだ。さらに言うと、特に近隣にEDLP型スーパー(Everyday Low Priceの略。常にあらゆる商品が低価格)があると、その影響は大きい。
「商品全体の3割が安ければ、安い店だと感じる」(スーパー業界でよく言われる「3割の法則」)とかねてから言われているが、近隣にEDLP型スーパーがあれば、従来スーパーの努力は顧客に伝わらない。
一例として、ヤオコー対クルベである。