ガスト「1990円フレンチ」で下剋上?勝ち組サイゼやロイホもマネできない巧妙戦略写真はイメージです Photo:diamond

すかいらーくが運営するファミレスチェーン「ガスト」が、期間限定でフレンチのコース料理を提供しています。価格は1990円(税込)です。「どうせファミレスのクオリティでしょ」と思った方、侮るなかれ。このメニューにはファミレス業界のパワーバランスをも覆す「すごい戦略」が込められているのです。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

【実食】ガストの1990円フレンチ
「かなりスゴい!」と言わざるを得ない

 私を含め戦略コンサルタントという人種はおおむね美食家が多いものです。コンサルがグルメになる理由は、毎週、誰かと会食しながら情報交換するのが仕事だからです。

 さて、そんな私がこの一週間で二度、同じフレンチのコース料理を食べることになりました。白金台のフランス料理店ラリュームのオーナーシェフの進藤佳明さんが監修したガストの『至福のフレンチコース』という料理です。ガストは11月21日から、25年1月22日までの期間限定で提供すると発表しています(11月20日のプレスリリースより)。

 ファミレスのガストが税込1990円の高級フレンチを提供するという話題が面白いと思い、一度目は取材として身内で訪店。その結果、とても美味しかったので、ちょっと偉い人を誘ってみることにしました。とある政治評論家を誘ってのランチが二度目です。

 上から目線の評価で恐縮ですが70点を及第点として、美食家の戦略コンサルタントとして評点を先に公開させていただきます。

 料理の満足度は75点、ビジネスモデルとしての完成度は80点というのが私の評価です。

 先に進藤シェフに怒られないように弁明すると、そもそもフレンチをファミレスで提供するのはもの凄く難易度が高いのです。その条件の下でグルメの観点で75点のフレンチを提供できたという今回のチャレンジがそもそも私は凄いことだと感じています。

 そしてビジネスと料理の両方の観点でこの偉業が語られるべきなのではないかと考えた次第です。あくまで美味しいものばかり食べている戦略コンサルタントという偏った視点ではありますが、ガストの『至福のフレンチコース』とは何なのかを解説してみたいと思います。