米大手銀、国内経済は依然堅調との見方示す米国最大級の消費者・中小企業向け銀行であるバンク・オブ・アメリカは、メインストリート(実体経済)で目にしていることについて良い感触を得ていると述べた
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 米大手銀行の首脳らは今週、同国の経済は堅調で、消費者は健全であり、ここ数カ月で大きな変化は見られないと表明した。だが、先行きについては依然として不安を抱いているようだ。

 JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、ゴールドマン・サックス・グループなどの銀行が発表した7-9月期(第3四半期)の利益と収入はアナリスト予想を上回った。M&A(合併・買収)の急増、企業支出、旺盛な消費行動に支えられた。企業幹部の信頼感の高まり、消費者債務の延滞率の低さ、株式市場の上昇がいずれも銀行の利益創出に寄与した。

 米大手銀6行の7-9月期の利益は前年同期比19%増の約410億ドルとなった。

 ウェルズ・ファーゴのチャーリー・シャーフ最高経営責任者(CEO)は「堅調な消費者支出と安定した預金が見られ、これらは、一貫して力強い消費者像を描いている」と述べた。

 同時に、経営陣は米国経済に関する懸念材料を指摘していた。ウォール街のより弱気な声の一部は、長期にわたる景気後退や信用サイクルなしに10年以上が経過していること、株価が過去最高水準に近いこと、自動車業界の2社の予期せぬ経営破綻を、キャメロット(アーサー王伝説の理想郷の名前)において全てが順調とは言い難い兆候として指摘し続けている。

 JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは「ゴキブリを1匹見つけたら、おそらくもっといるだろう。誰もが警戒すべきだ」と述べた。

 米国経済は相反するシグナルを発している。雇用市場は冷え込み、インフレは高止まりしている一方、株式市場は今年に入り何度も最高値を更新している。連邦政府機関の閉鎖により状況はさらに不透明になっている。閉鎖によって数百万人の米国人が給与を受け取れなくなる可能性があり、投資家は雇用と物価に関する定期的なマクロ経済データを入手できなくなる見込みだ。

 これにより、消費者や大小さまざまな企業の健全性に関する洞察を得るため、企業業績への注目が高まるだろう。特に銀行は、米国の何百万もの家計と企業の財務状況の詳細を把握し、顧客が旅行や外食などの支出を削減しているかどうかを示す貯蓄と消費の習慣を監視しているため、より広範な経済のバロメーターと見なされている。

 ここ数カ月、国内総生産(GDP)などの指標は米国経済が安定していることを示した。それでも、雇用市場の低迷に対する懸念が低所得世帯の財務状況に対する不安を高めている。