“軍神”として特攻で散った兄…遺された妹がこぼした「どう表現したらいいか分からん」本音写真はイメージです Photo:PIXTA

「お国のために…」と散った特攻隊員。しかし、故郷の村人から「誇らしい」「立派だ」と死後に讃えられた若者たちが、どれほどの葛藤を抱えて飛び立っていったのか計り知れない。同じ過ちを繰り返さないためにも、我々は遺族の思いを語り継いでいかなくてはならない。筆者は、残された家族に話を聞いていった。※本稿は、大島隆之『“一億特攻”への道 特攻隊員4000人 生と死の記録』(文藝春秋)の一部を抜粋・編集したものです。

海軍に負けるまいと
陸軍も特攻隊を編成

 今回の番組を作るにあたり(編集部注/2024年8月17日放送のNHKスペシャル『“一億特攻”への道~隊員4000人 生と死の記録~』)、可能な限り多くの遺族を回ろうと考えていたが、いくつか的をしぼったうちのひとつが、陸軍の「靖国隊」だった。

 特攻が始まった直後の昭和19年11月初旬に朝鮮半島の群山を拠点とする航空隊で編成され、フィリピンに送り込まれ、11月24日の初出撃以降、10名が戦死している。

“軍神”として特攻で散った兄…遺された妹がこぼした「どう表現したらいいか分からん」本音同書より転載
“軍神”として特攻で散った兄…遺された妹がこぼした「どう表現したらいいか分からん」本音同書より転載