人間関係のストレスの多くは、「相手への期待」から生まれる。わかっていても、つい「今度こそ変わってくれるはず」と思ってしまう。……そんなあなたにおすすめなのが、『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』(キム・ダスル著、岡崎暢子訳)だ。著者の最新刊『人生は期待ゼロがうまくいく』も話題となっているなか、本書の発売を記念して、ライターの有山千春氏に、「自分の期待をコントロールする方法」についてご寄稿いただいた。(企画:ダイヤモンド社書籍編集局)

【失礼な人あるある】イラっとすることをされたとき、頭のいい人がやっている「静かな反撃」とは?Photo: Adobe Stock

賢い人は
「もう期待するのをやめる」

 夫の、後輩に対する愚痴が止まらない。

 この日も帰宅するなり「もう本当にあいつイヤだ!」と、まるでコントに入るかのごとく流れるように再現し始めたのは、喫茶店での出来事。

「オレが先に店にいて、あいつ(後輩)はあとからやって来て。『はあぁ~~』とため息をつきながらどかっと席に座るなり、ガバッとメニューを開くんだよ」

 そして夫に一瞥もくれずに呼び出しブザーを押し、やってきた店員さんとこれまた目も合わさず「アイスコーヒー」とだけ言ったという。

「ああ、話していたらまたムカついてきた」

 臨場感たっぷりに話す夫に対し、筆者は「またか」と思った。

 いよいよ聞き飽きた後輩の愚痴。毎度毎度、後輩の横柄な態度に腹を立て、本人に注意すると「すみません!」と殊勝に頭を下げるが、また同じことをしでかし、帰宅しては筆者に吐き出す――を繰り返している。

「『今日は大丈夫だ』と期待するから腹が立つんじゃない? 期待するの、やめたら?」と言いそうになり、ふと省みる。

 筆者も同じように、夫の愚痴が終わったら自分の後輩の愚痴を話そうとしていたのだから。「聞いてよ、あいつ、前言ったのに。全然直らないんだよ」から始めようとしていたのだから。

「期待する」のは
仕方がないけど……

「最高の一日が一生続く106の習慣」を紹介するキム・ダスル氏著のベストセラー『人生は「気分」が10割』には、こうある。

「過度に期待することがクセになっている人は注意したほうがいい」――と思わず姿勢を正してしまう。

 何ごとも、期待しすぎないに限る。
 期待が大きくなればなるほど、ダメだったときの失望も大きくなるから。
 失望は何度したって構わないものだけれど、その度合いがあまりにもデカすぎると、とんでもないダメージになりかねない。
――『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』より

 “あいつ”のせいで人生に悪影響が及ぶ可能性があるとは、なんてバカげているのだろう。

 だが、「期待をするな」と言われても期待せずにはいられない理由について、こうも書かれている。

人間は本能的に期待してしまう生き物で、自分のしたことにはそれ相応の見返りを期待する」(同書より)

 どうしたって期待は消えない。

 けれど、「私は今日も期待してしまうのだろうな」と自分自身を俯瞰するだけで、腹立たしさは和ぎそうだ。

(本稿は、『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』の発売を記念したオリジナル記事です)

有山千春(ありやま・ちはる)
メーカー広報、出版社編集者を経て2012年よりフリーライターに。主に週刊誌やWEBメディアで取材記事やインタビュー記事を執筆。昨年より高田馬場の老舗バーにてお手伝い中。