会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーとはなんだろうか? 責任をとること? 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めること?
『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。本記事では、木暮氏に「言語化」について教えてもらう。

「そりゃ動けないわけだ…」キャリアが停滞する人の“思考の落とし穴”Photo: Adobe Stock

なぜぼくらはキャリアに悩み続けるのか?

多くのビジネスパーソンがキャリアに悩んでいます。「このままでいいのだろうか?」「いつまでこんな働き方を続けるのか?」など、現状を変えなければいけないと感じている人は多いです。

ある企業さんの社内調査では
「日々の業務に追われ、目先のことしか考えられていない」(49%)、
「なりたい理想像はあるが、行動計画が立てられない」(34%)
という結果が出ました。いかがでしょうか?

もしかしたらあなたも当てはまっているかもしれませんね。

でもなぜこのような状況になっているのでしょうか? 毎日一生懸命働いているし、自分の将来も考えてきたと思います。しかし、状況が変わっていません。

ぼくは、ここでも「言語化」がカギを握っていると考えています。

ぼくらは自分が考えていることをあいまいにしか捉えていません。そして、あいまいだから実行できないんです。つまり、ぼくらがキャリアに悩む根本原因は、能力や機会の不足ではなく、自分が何を望んでいるのか、何をすべきなのかが「明確になっていない」ことにあるんです。

「やりたいこと」なんて見つからない

従来のキャリア論では「ビジョンを持て」「やりたいことを見つけろ」と説かれることが多いですよね。でもこれがかえって人々を苦しめていると感じます。

「ビジョン・やりたいこと」を持とうと思っても、偶然の出会いで見つかるわけではありません。さらに、それらを持っていなければ「社会人として失格」と本人がプレッシャーに感じてしまうと本末転倒ですね。

自分のキャリアを描いたり、やりたいことを考えるうえで大事なのは、壮大なビジョンではなく、「ちょっとやってみたいこと」です。

例えば「広告にキャッチコピーを書いてみたい」「店頭に立って、直接お客さんと話をしてみたい」といった、些細な願望でもいい。これらを明確に言語化し、認識することが第一歩となります。

日々の些細な「やってみたいこと」を実行していくことで、自分に向いているのかどうかがわかります。

もしそれを実行するのにストレスがなければ、継続できます。継続できれば、やがて得意になり、人からも評価されます。

そもそも、やったこともないのに「それをやりたい!」と感じることは不可能です。まずは「ちょっとやってみる」から始めてみることをおすすめします。