行動できないのは、言語化できていないから
先ほど紹介した社内調査に「なりたい理想像はあるが、行動計画が立てられない」という回答がありました。自分として目指す姿があっても、それに向けて日々行動できていないという意味です。
これも言語化の問題ですね。ぼくらが使っている言葉はじつはかなりあいまいです。あいまいだからいざ行動に移そうとしても何をしていいかわからないのです。
たとえば、「相手の立場に立とう」「自分磨きをする」「強みを活かす」などです。「自分の強みを活かして仕事をしたい」と考えても、「強みを活かす」があいまいなので、何から始めればいいかわからないんです。
「ダイエットのために運動する」と決めても、「運動する」が不明確です。何をするのか決まっていません。だからすぐに行動に移せない。その都度考えなければいけず、結局やらなくなってしまうのです。
ここで重要なのは「ために」で分解することです。
「ダイエットをする『ために』毎朝7時に体重計に乗る」
「ダイエットをする『ために』10分間ウォーキングする」など、自分が決めたアクションリストを実行するために「そのために~~~をする」
という文章に変換します。
こうなるとアクションが言語化されて、すぐに行動できるようになります。
言語化こそが最強のビジネススキルである
言語化の力は、単に考えを整理するだけではありません。明確な言葉にできれば、明確に考えることができます。明確な言葉で考えれば、明確なゴールを示せます。そして明確な計画を立てることができます。
諦めなければ夢はかなうという言い方があります。ですが、実際は違います。「諦めなければ」ではなく「策が尽きなければ夢は叶う」のです。
カーネル・サンダースが1000回以上も提案を断られ続けて、それでも営業を続けてKFCを成功させました。しかしこれは「諦めなかったから」ではなく、「提案先をどんどん見つけて、行動を続けられたから」だと思うのです。気持ち的に諦めなかったとしても、万策尽きてしまえば何もできません。
成功する人は「行動リスト」を持ち続けているんです。諦めない精神力ではなく、次々と新しい策を言語化できる能力こそが、キャリアを前進させる原動力となります。
つまり自分がやるべきことを言語化できるかどうかなんです。
現代のビジネス環境では、AIの進化により「言語化の幅が広がった」という声もありますね。でも、AIを活用するにせよ、まず自分が何を求めているのかを明確に言語化できなければ、適切な問いを立てることができません。
キャリアの悩みから抜け出す鍵は、壮大なビジョンを描くことでも、特別な能力を身につけることでもないんです。自分の思考や願望を明確に言語化し、それを実行可能な行動に分解していくことが何よりも重要です。
この言語化プロセスこそが、停滞していた人生を確実に動かし始めます。
ご自身のキャリアが見えないのは、ご自身の能力不足や市場環境が変化しているからではありません。自分が望んでいることと、日々やることを言語化できれば、状況は大きく変わります。
「言語化できれば、あなたの人生が動き始めます」
今この瞬間から、あいまいな言葉を明確にし、小さくてもいいので踏み出していきましょう。






