“考えすぎ”から解放された
そんな感想が国内外から届いているのが、世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっている『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも13,000超のレビューで世界が絶賛する話題書がついに日本上陸。本書によって日本人が考えている以上に「考えすぎ」が恐ろしい事態を招くことがわかった。今回はライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【致命的】「まだ起きていない恐怖に襲われる人」の共通点・ワースト1Photo: Adobe Stock

不安はどこから「製造」されるのか?

 何気なくクレジットカードの明細を開いた。
 普段より10万円ほど多いのがわかった瞬間、息が止まった。
 そういえば先月は飲み会が多かったし、仕事用の機材も買った。
 増えた理由はわかっている。
 でも、数字を見た瞬間、脳は勝手に別の方向へ走り出す。

 今月は歯のインプラント手術が決まっていて、見積もりだけで目が回る。
 なのに収入は横ばいで増える見込みもない。
 独身で、実家からも離れて暮らしている。

「この仕事、いつまで続けられるんだろう」
「年金は本当にもらえるのか」

 そんな不安まで浮かんでくる。
 気づけば、「このまま孤独死しても誰にも気づかれないんじゃないか」という極端な未来図にまで思考が飛んでいた。
 カード明細を見た瞬間から孤独死まで、かかった時間は5分もなかった。

「まだ起きていない恐怖に襲われてしまう人」の悪習とは?

『STOP OVERTHINKING』の著者ニック・トレントンもこう述べている。

脳は実際に起きたことと同じくらい、起きていないことについて考えている。しかも、起きていないことについて考える時間が多くなるほど、不幸の感覚が生じやすいという。
――『STOP OVERTHINKING』(P.25)より

 パソコンを閉じて、とりあえず寝た。
 幸い、翌朝にはケロッと忘れていた。
 この切り替えの早さは我ながら助かっている。

 だが、本当に必要なのは、不安の連鎖が始まった瞬間に「今、脳が暴走しているな」と気づくことだ。

 起きてもいないことを心配するのは、脳の悪いクセ。
 カード明細が普段より多いのもインプラントが必要なのも事実。
 でも、孤独死はまだ起きていないし、年金がもらえないのもまだ決まっていない。

 本書によれば、これは「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という脳の自動運転モードが働いているせいらしい。

 ぼーっとしているとき、脳は過去や未来のことを勝手に考え始める。
 しかも、起きてもいないことを延々とシミュレーションして、不幸を量産していく。
 その時間が長くなるほど、不幸の感覚が強まるのだ。

 脳が勝手に未来へ飛んでいることに気づいたら、いったん立ち止まる。
 意識を「今ここ」に戻す小さな習慣を持つ。
 ぼーっとしている時間を「不安製造タイム」にするか、ただの「休憩時間」にするか。
 それは、意識の持ち方次第で変わる。
 それを実感できるのも本書の強みかもしれない。

(本稿は『STOP OVERTHINKING ――思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)