【5 隠密性/存在感を示す能力
・米国は時には仮想敵に気づかれずに能力を配備または準備できるべきだ。(例えば、SSBN〈弾道ミサイル搭載原子力潜水艦〉や攻撃型潜水艦のこの地域への配備)
・米国は時には強固な意志を表すため能力の存在感を示せるべきだ。(例えば、グアムへのB2やB52の配備)
6 十分な能力
・米国の抑止力は量的・質的に、仮想敵に核能力の拡張または近代化を思いとどまらせるのに十分であるべきだ。
・米国が実戦配備した戦略核弾頭を大幅に削減することに関しては、十分に前もって日本と緊密に協議することが欠かせない。
・米国による実戦配備戦略核弾頭の一方的削減は日本の安全保障に逆効果となるかもしれない。
・米国がロシアと核削減交渉をする際、中国の核軍備拡張と近代化に常に留意すべきだ。十分に前もって日本と協議すべきだ。】
米国に核の抑止力を
説いた被爆国の日本
このメモにあらわな日本政府の核の傘への依存ぶりは、唯一の戦争被爆国として核軍縮を訴える立場とほとんど両立不可能だ。
このメモではまず、オバマが掲げる「核兵器のない世界」を「最終的な目標」としては支持しつつ、中国や北朝鮮の軍拡を念頭に、日本周辺の状況が厳しいので「米国による核抑止を含む抑止が必要だ」として核の傘を引き続き求めている。
さらに、そのためには米国の核戦力が「信頼できるもの」でなければならないとして突っ込んだ意見を述べる。
それは「〈3〉追加のコメント(米国の抑止力の望ましい特性)」に詳しい。
「米国の抑止力は量的・質的に、仮想敵に核能力の拡張または近代化を思いとどまらせるのに十分であるべきだ」とし、米国が他国を圧倒する核戦力を持ち続けるよう主張。
具体的には「隠密性」によって敵がいつどこからミサイルで攻撃されるかわからない潜水艦であったり、逆に「存在感」を見せつける爆撃機の米領グアムへの配備であったりすると指摘している。
米国に核抑止論を説くようなくだりもある。精密に目標を破壊できる「選別能力」がある核兵器こそ敵を牽制するのだという趣旨で、「もし米国の攻撃が常に大量の民間人の犠牲を伴うなら、仮想敵はそうした攻撃に現実味を感じないだろう」。







