社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。
『「やりたいこと」はなくてもいい。』より
「弱み」は克服すべきか?
「強み」について考えるとき、「弱み」も避けて通れません。強みが一人ひとり違うように、弱みも人それぞれです。「弱みは克服しないといけない」と考えている人は多いですが、それは正しくありません。弱みとの向き合い方を誤ると、かえって強みの発揮を妨げてしまうこともあるのです。
「強み」と「弱み」は表裏一体の関係
強みと弱みは、しばしば表裏一体の関係にあります。同じ特性が、ある場面では強みとなり、別の場面では弱みとなることがあります。
例えば、「慎重さに欠ける」という弱みを持つ人は、その裏返しとして「冒険心がある」「新しいことに躊躇なく挑戦できる」という強みを持ちます。
このような場合、弱みを克服しようとして慎重になりすぎると、その人の持ち味である冒険心や勇気がそがれてしまい、本来の力を発揮できなくなってしまいます。
むしろ、自分の弱みを認識し、自分の特性として受け入れたうえで、それを補完する方法を探すほうが効果的です。
例を示すと、慎重さに欠ける人がそれを自覚することで、慎重な人からの助言を「自分の冒険の邪魔をする嫌な忠告」ではなく、「自分に足りない視点を教えてくれる貴重な意見」として受け入れられるようになります。そうすることで、自分が見落としていたり軽視していたりしたリスクについて、必要に応じた準備をして安心して進めるようになります。弱みを弱みと認めることで、挑戦する強みは活かしながら、本当に問題のあるリスクは事前に予防できるようになるのです。
このように弱みを知ることで、強みをさらに発揮できるようになります。
強みと弱みの表裏一体の関係について、いくつかの具体例を冒頭に書き出しました。ご自身の強みを掘り下げるときの参考にしてください。
このような対比を見ると、単純に強みと弱みを分けることができないことがわかってくると思います。
ある特性がプラスに働くか、マイナスに働くかは、状況や環境によって変わってくるのです。
*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。




