「会議」と「ドラゴンボールの元気玉」の意外な共通点とは?
「1つに絞るから、いちばん伝わる」
戦略コンサル、シリコンバレーの経営者、MBAホルダーetc、結果を出す人たちは何をやっているのか?
答えは、「伝える内容を1つに絞り込み、1メッセージで伝え、人を動かす」こと。
本連載は、プレゼン、会議、資料作成、面接、フィードバックなど、あらゆるビジネスシーンで一生役立つ「究極にシンプルな伝え方」の技術を解説するものだ。
世界最高峰のビジネススクール、INSEADでMBAを取得し、戦略コンサルのA.T.カーニーで活躍。現在は事業会社のCSO(最高戦略責任者)やCEO特別補佐を歴任しながら、大学教授という立場でも幅広く活躍する杉野幹人氏が語る。新刊『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』の著者でもある。

「会議」と「ドラゴンボールの元気玉」の意外な共通点とは?Photo: Adobe Stock

「会議」と「ドラゴンボールの元気玉」の意外な共通点とは?

 会議が最高だと言う人にはほとんど出会ったことがないが、会議なんて無くなればよいのにと言う人には何人にも出会ってきた。それだけ、組織において会議は嫌われている。

 しかし、会議とは、漫画ドラゴンボールの元気玉のようなものだ。

 そう言うと、嫌われるだけ嫌われている会議と、国民的人気の漫画で世界でも広く愛されているドラゴンボールなので、違和感を覚えるかもしれない。だが、その二つには共通点があるのだ。

 ドラゴンボールの元気玉は、主人公の孫悟空の必殺技だ。自分だけではどうにもならないときに、世界中のみんなから少しずつ元気を分けてもらって、最後はそれらの元気を一つにまとめ上げて巨大パワーにして勝つ技だ。

 この技のポイントは「自分だけではどうにもならないとき」に使う技だということだ。そして、みんなという「他者」から元気をもらって、問題を解決している。

 会議も同じなのだ。会議は一人だけでは開かない。

 なぜならば、会議とは、誰かが「自分だけではどうにもならないとき」に「他者を頼って」二人以上で開くものだからだ。

 自分に限界があり、それを認識しているからこそ、他者を頼りにする。みんなに問題への答えのアイディアを分けてもらう。それを集めることで、自分だけでは思いつかなかったような答えが見つかり、問題解決できたりする。

 会議もドラゴンボールの元気玉も「自分だけではどうにもならないときに他者を頼りにして問題解決する手段」という点が共通するのだ。

「会議」と「ドラゴンボールの元気玉」の違いとは?

 ただし、一つ違うこともある。ドラゴンボールの元気玉では、頼られた他者は元気を送る。それによって、問題が解決する。

 しかし、会議では、会議の主催者に元気を送ってもなにも問題が解決しない。

 会議では、会議の主催者に「論点に対する自分の答え」を送ろう。会議とは、二人以上での問題解決の手段であり、問題解決とは論点に答えを出し、それを実行していくことだ。会議の主催者は論点によい答えが見つからずに悩み、みんなを集めている。

 そうであれば、元気を送るのではなく、会議の主催者に「論点に対する自分の答え」を送るのだ。それによって、会議の主催者は自分一人では見つからなかった答えが見つかり、問題の解決ができるようになるのだ。

 メッセージとは元気玉のようなものだ。論点に対する自分の答えを送ることとは、相手に「メッセージ」を伝えることだ。

 メッセージとは、単に相手に言葉を伝えることではなく、相手の論点に対する自分の答えを伝えることだからだ。

 会議で相手の論点に答えずに感想や評論を言ってばかりだと、会議の主催者はなんの問題解決もできない。みんなで集まる意味がない。そんな会議ばかりだから、会議は嫌われてしまったりする。

 会議では、相手の論点に対する自分の答え、すなわち、メッセージを伝えよう。それは、誰かを助ける元気玉を送るようなものなのだ。

(本原稿は『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』を一部抜粋・加筆したものです)