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昭和の幕開け、焼け跡からの再出発、高度成長を経た成熟社会の入り口――。企業は生まれた時代の空気を色濃く映す存在だ。特集『総予測2026』の本稿では、2026年に創業100年、80年、50年という節目を迎える上場企業を抽出した(原則として法人登記年。事業開始年など、当該企業が掲げる年と異なる場合がある)。(Diamond WEEKLY編集部 深澤 献)
100th 1926年
昭和元年、新しい時代
即位の礼での昭和天皇
1926年12月25日、大正天皇の崩御により、昭和の時代が静かに幕を開けた。もっとも、年の大半は大正15年として過ぎており、人々が「昭和」を実感するのは年が明けてからだったかもしれない。それでも、近代日本が次の段階へ進もうとする、象徴的な節目といえる。
第1次世界大戦後の反動不況や関東大震災の傷痕が残る中、日本社会には不安と同時に、新しい産業や仕組みで未来を切り開こうとする気運があった。26年には、そうした時代精神を背景に生まれた企業も少なくない。「科学技術で国を支える」という志が産業化へと向かい始め、金融・商業の分野でも、近代的経営や大衆市場を意識した企業が次々と登場し、単なる利益追求ではなく、「社会に役立つ事業」を掲げる理念が語られるようになった。
新しい元号の下で、これからの日本をどうつくるか――そんな希望と試行錯誤が同時に芽吹いた出発点といえるだろう。
2026年に100周年を迎える
1926年創業企業
会社名
設立年月日|所在地|業種|上場区分(東P:東京証券取引所 プライム市場/東S:東京証券取引所 スタンダード市場/名P:名古屋証券取引所 プレミア市場/名M:名古屋証券取引所 メイン市場/札:札幌証券取引所/福証:福岡証券取引所)
東レ
1926年1月12日|東京都中央区|繊維|東P
レーヨン糸を輸入販売していた旧三井物産が、自国生産を目指し東洋レーヨンとして設立
東陽倉庫
1926年3月13日|名古屋市中村区|倉庫|東S,名P
名古屋倉庫と東海倉庫の合併により東陽倉庫として設立
神戸電鉄
1926年3月27日|神戸市兵庫区|鉄道・バス|東P
神戸有馬電気鉄道として創業。1928年に有馬線(湊川・有馬温泉間)営業開始
テーオーシー
1926年4月3日|東京都品川区|不動産|東S
創業時は星製薬。1982年に子会社の東京卸売りセンターと合併し現社名に
たけびし
1926年4月24日|京都市右京区|商社|東P
電気機械器具材料の製造販売、九笹商業として設立、1931年に竹菱電機商会に改称
ミツウロコグループホールディングス
1926年5月10日|東京都中央区|商社|東S
三鱗石炭と三井物産との合弁により三鱗煉炭原料として設立
クラレ
1926年6月24日|東京都千代田区|化学|東P
化学繊維レーヨンの事業化を目的に倉敷絹織として岡山県倉敷市で創業
ホテル、ニューグランド
1926年7月6日|横浜市中区|サービス|東S
関東大震災の横浜復興のシンボルとして設立、ホテル開業は1927年
信越化学工業
1926年9月16日|東京都千代田区|化学|東P,名P
信越窒素肥料として化学肥料・石灰窒素を生産開始
富士急行
1926年9月18日|山梨県富士吉田市|鉄道・バス|東P
富士山麓一帯の観光地開発を目的に富士山麓電気鉄道として創業
イオン
1926年9月21日|千葉市美浜区|小売業|東P
岡田屋、6代目惣右衛門が岡田屋呉服店を設立(起源は江戸時代の篠原屋)
ブルドックソース
1926年9月21日|東京都中央区|食品|東P
1902年創業の食料品卸商三澤屋商店から、ブルドックソース食品を設立
豊田自動織機 PICK UP!
1926年11月18日|愛知県刈谷市|機械|東P,名P
豊田佐吉が発明した自動織機で豊田自動織機製作所として創業
テルマー湯ホールディングス
1926年12月22日|東京都港区|サービス|東S
日本レースとして京都に創業、2020年に繊維事業から撤退
その企業が生まれた時代や当時の経済状況によって、創業の理念や企業の性格は違ってくる。次ページからは100周年企業の代表的企業として豊田自動織機をピックアップして解説する。続いて、2026年に80周年を迎える第2次世界大戦の終戦直後に生まれた「戦後派企業」、そして高度成長が終わり成熟社会に突入しようとしていた1976年生まれの50周年企業をリストアップして紹介していく。







