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政策金利は30年ぶりの水準
植田日銀、「能あるタカ(派)は爪を隠す」!?
日本銀行は12月18・19日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コールレート(翌日物)の誘導目標を0.75%程度へ引き上げることを政策委員の全員一致で決めた。
デフレ脱却のための金融緩和を強いられる中、政策金利は1995年9月に1.0%から0.5%に利下げされて以降、30年以上にわたって0.5%を超えることがなかった。
消費者物価が2022年4月から4年近く2%の物価安定の目標を超えて推移していることを考えれば、0.75%の政策金利は低過ぎるという批判は当然出てくるだろう。だが異次元金融緩和を引き継いで植田和男新総裁が誕生したときに、就任から3年弱でこの0.5%の壁を抜けて金融政策の正常化が進むことを予想した人はあまりいなかったのではないか。
今回、利上げを決めた理由としては、米国経済や関税引き上げの影響を巡る不確実性が低下し国内景気の緩やかな回復が見込めること、あるいは賃金上昇の販売価格への転嫁が続いて基調的な消費者物価上昇率が2%に向けて高まっていることが挙げられる。
しかし、何といっても利上げの決め手となったのは、26年も引き続き企業の積極的な賃金設定行動が続き、しっかりとした賃上げが実施される可能性が高いと判断できたことだろう。
今回は、アベノミクスの流れをくみ、たびたび利上げをけん制してきた高市早苗首相の下、利上げを実施したという点でも日銀には意義が大きい。
円安加速回避で高市首相が利上げを容認したとも考えられるが、肝心の為替市場は、日銀が今後の利上げに慎重姿勢とみて円安が進んだ。
植田日銀は「ハト派」なのか「タカ派」なのかの議論もあらためて出そうだが、筆者は、26年以降も日銀は中立金利に向けて金利正常化を進めるとみている。
26年7月には政策金利は、中立金利の推計値の下限の1%に引き上げられる可能性がある。さらに注目はその後だ。







