1位は戦前~令和までトップレベルに君臨する中京大中京高

【第1位 中京大中京高(愛知県):86人+今年1人指名】

 第1位は愛知県の名門、中京大中京高。戦前から戦後にかけては中京商、昭和後半は中京高、平成以降は中京大中京高と校名は変化しつつも、常に高校球界のトップに近い位置に存在し続けている。

 甲子園での春夏合わせた優勝11回や、通算137勝などは断トツの1位。プロ入り人数でもしばらくトップを走っていたが、平成以降のプロ入りはあまり多くなく、トップの座をPL学園高に譲り渡してしまっていた。しかし、PL学園高を抜き返して再びトップに立つと、以後もプロ入り選手を輩出し続けている。今年は中京大の大矢琉晟がソフトバンク育成3巡目で指名された。

 現役では沢井廉(ヤクルト)、高橋宏斗(中日)、中山礼都(巨人)らがOB。

「指導力」は、プロ入りした人数だけでは測れない

 ここまで紹介してきたような、数多くのプロ選手を送り込んでいる学校がある一方で、平成の強豪・智弁和歌山高(16人+今年1人指名)や、昭和末の強豪・池田高(8人)などは、甲子園での活躍ぶりに比べるとプロ入り選手が少ない。智弁和歌山高は基本的に有名進学校でもあるという事情もあるが、プロ入りするほどの能力の高い選手が少ないにもかかわらず甲子園で実績を残しているわけで、それはとりもなおさず監督の力量の高さを示しているともいえる。

 また、冒頭で紹介したスタンフォード大の佐々木麟太郎の他にも、ジョージア大の石川ケニーがオリックス6巡目で指名されるなど、近年は海外大学の選手も毎年のように指名されている。

 現在までに1人でもOBをプロに送り込んだことがある高校は、全国に1700校以上ある。今年も8校は、開校以来初めてプロ選手を輩出する見込みだ。全国で野球部のある高校のうち半分近くは、OBにプロ入りした選手がいる。野球部ができてまだ年数が浅い高校でなければ、あなたの身近な学校のOBに、プロ野球選手がいる可能性は意外と高いのだ。

(野球史研究家 森岡 浩)

※本稿では、表記を「新字体」に統一しています(澤井→沢井など)