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【トロント】ロサンゼルス・ドジャースが山本由伸を日本から南カリフォルニアに誘い出すために3億2500万ドル(当時のレートで約463億円)の契約を結んだ時、同球団が完全に狂ったのではないかと疑うのは当然のことだった。
山本は米国の野球で1イニングもプレーしたことがなかった。それにもかかわらずドジャースは、投手として史上最高額となる12年間の保証契約を結ぶという途方もない決断を下した。
山本がドジャースの目に留まった理由を実証するのに、わずか2年しかかからなかった。今シーズン、野球界でトップクラスの先発投手としての地位を確立した。
しかも山本は今月、自らがもっと偉大な、ドジャースがあれだけの大枚をはたいた時には予測できなかった投手であることを証明した。エースになったのだ。
大幅に希薄化された2025年基準のエースではない。今は投球数が110球を超えることが非合理的な負担で、6イニングの登板が「圧倒的」と見なされる時代だ。そうではなく、山本は古典的な定義でのエースになった。往年のドジャースの投手、サンディ・コーファックスとドン・ドライスデールを誇らしく思わせるような昔ながらのエースだ。「ブルペンデー」が存在せず、リリーフに任せるのは弱虫であり、先発投手が自らのクローザーを務めることが期待されていた時代をほうふつとさせるエースだ。
25日、山本は見事な投球を披露してワールドシリーズ(WS)を1勝1敗のタイに戻した。2015年にカンザスシティー・ロイヤルズのジョニー・クエト投手が達成して以来、WS初の完投を成し遂げ、ドジャースはトロント・ブルージェイズに5対1で勝利した。山本はわずか4安打に抑え、8奪三振を記録した。20打者を連続して抑え、計27個のアウトを取るのに105球しか要らなかった。







