南へ10km、東へ10km、北へ10km走り、元の位置に戻った。いっけん問題文が意味不明なので、誤植なのではと疑った方もいるかもしれません。
 大丈夫。ミスではありません。正しい問題文です。
 しかしこれが正しいとすると、別の意味で大丈夫ではありませんね。

 さらに問題なのが、いきなり問われる熊の色。
 いったい、どう考えればいいのでしょう?

謎だらけの問題文

“学者はパニックになり、南へ10km、東へ10km、北へ10km走ったところ、テントに戻ってきてしまった。”

 このように移動したら、ふつうはテントから東に10km離れた地点にいるはずです。
 しかし学者は、なぜかテントに戻ってきている。

 熊の色はいったん置いておいて、まずはこの謎を解くことがヒントになりそうです。
 学者はいったいどこにいるのか。
 ここから考えてみましょう。

世界の「形」とは?

「南→東→北」と移動して、元の場所に戻ってくる。
 そんな場所、地球上に存在するのでしょうか?

 はい、あります。
 先ほど、「南→東→北」と移動した場合に戻ってくる位置は、スタート地点から東に10kmの地点だと言いました。
 ですが、実際はちょっとズレます。
 なぜなら地球は平面ではなく、「球体」だからです(厳密に言うとちょっと潰れた楕円体ですが)。
 つまり、曲線になっている表面の影響を少なからず受けます。

 そう考えたとき、南へ10km走った地点から、どんなに東西に移動したとしても北へ10km走るだけで元の位置に戻ってしまう場所があります。

 北極点です。

 ということで、学者がいるのは北極だとわかりました。
 では、そこにいる熊は?

 当然、シロクマですね。
 つまり問題の答えは「白」です。

<正解>
 熊の色は「白」

「思考」のまとめ

 南や北が、平面上の「上」「下」を指しているのではなく、「北極点」「南極点」を指していると気づけるかどうかがポイントでした。はじめから「そんなことは無理だ」と考えるのをあきらめてしまったら、なかなか辿り着けない答えだったかと思います。

 このように、水平思考の問題は「発想」が問われるものが多いですが、いずれも与えられた情報がヒントになっています。
 頭をやわらかくして、あらゆる可能性を考えてみましょう。

・「そんなの無理だ」と決めつけずに、やわらかい頭で可能性を考えてみる

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。第2弾『もっと!! 頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』でも、同様の問題を多数紹介しています)