50代以降、夫が役職定年を迎えることがきっかけで離婚話になるケースが目立っているという。
「バブル世代は年収がずっと右肩上がりだったのでそれを前提として消費行動をしてきましたが、50代に役職定年になるとガクンと年収が減る。会社の制度として理解していても、いざ現実として下がった給与の額を見ると驚き、過去の家計管理について配偶者を責めて離婚問題に発展する」
退職金が出るタイミングで
妻は密かに動き出す
予防策としては、50代に入る前に「役職定年」を想定し、家計を見直し、夫婦で老後について話し合うことを提案する。
厚生労働省の統計によると、2023年の離婚件数は18万3814組で、前年より4715組増加した。離婚そのものは、02年の28万9836組をピークに減少傾向にあるが、そのうち婚姻期間が20年以上の熟年離婚は3万9810件と前年より増え、離婚率も23.5%と、統計のある1947年以降で過去最高を更新し続けている。
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NPO法人・日本家族問題相談連盟理事長で公認心理士、離婚カウンセラーの岡野あつこさんは、「熟年夫婦の離婚相談は女性からが7~8割。要因で多いのは、夫のモラハラなどです」と語る。
子育てが一段落したことも離婚を決断する要因となり、退職金や年金などの財産分与を考える場合、「夫の定年の2~3年前から妻は準備に動きだす」という。
人生100年という長寿社会の影響もある。1950年ごろの男性の平均寿命は約60歳。定年後、夫はそれほど長く生きる存在ではなかったが、今や男性の平均寿命は81歳。子どもが独立した定年後、夫婦で過ごす時間が長くなった。







