FRBに急務の判断:保有資産縮小をいつ終えるべきかPhoto:Bloomberg/gettyimages

 米連邦準備制度理事会(FRB)高官らは今週の連邦公開市場委員会(FOMC)で、突如として差し迫った判断を求められている。それは利下げとは関係がなく、6兆6000億ドル(約1000兆円)に上る保有資産の縮小を数日以内に停止すべきか、それとも縮小停止を年末まで待つべきかというものだ。

 つい2週間前には、FRBは年末に停止決定を下す方向に進んでいるように見えた。ジェローム・パウエル議長は、主にテクニカルな金融調節の力学に焦点を当てた異例の講演で、FRBは3年にわたり保有資産の縮小に取り組んできたが、それを終了すべき段階に「今後数カ月で」近づく可能性があると述べた。

 しかしアナリストらは、それ以降の翌日物市場で予想以上に圧力が強まっているため、より早い段階での縮小停止が必要になるかもしれないとの見方を示す。

 保有資産のランオフ(償還に伴う減少)をいつ停止すべきかを巡る議論は、政策金利を据え置くか、今週広く予想されているように引き下げるべきかを巡る議論とは切り離されている。むしろ前者の議論は、短期金利を効果的にコントロールする力をどうすれば最もよく維持できるか、という話が中心となっている。

 FRBがその莫大(ばくだい)な保有資産(バランスシートと呼ばれることもある)を拡大したのは、2007~09年の金融危機時と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期だ。FRBはいずれの時期でも、市場の安定化と景気刺激を目的に、膨大な量の米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を購入した。