
FRB利下げ再開、景気26年は持ち直すが
トランプ政権の「FRB介入」なお続く
米連邦準備制度理事会(FRB)は、9月17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り、利下げを再開した。声明文をみると、雇用に対する下方リスクが高まったとし、そのリスクバランス変化を踏まえたとしている。
FOMCメンバーの見通し(ドットチャート)では、年内にあと2回、さらに来年に入りさらに1回の利下げが想定されており、金融市場も今回の利下げを好感している。その意味では、ポジティブなイベントだったといえる。
米経済はトランプ関税の影響で、足元は景気減速が強まると予想されるが、利下げ継続で2026年は持ち直し、実質GDP成長率は1.3%程度が見込まれる。
だが一方で、FRBにとって頭が痛いのがトランプ政権の出方だ。トランプ大統領は執拗に利下げを要求してきたほか、FRBの人事にも介入してきている。今後も、その姿勢は続くとみられ、パウエル議長が26年5月に任期を迎える一方で、ブレーンのミラン経済諮問委員会(CEA)委員長をFRB理事に送り込んだように、後任の議長にも自らの意向に沿う人物を据え、FRBを掌握しようとするだろう。
トランプ政権の影響力が強まるなかで、FRBの姿勢も徐々にハト派的な姿勢が強まる可能性が高く、これは今後の金融政策にさまざまな影響を与えると考えられる。
懸念されるのは、金融市場がFRBの独立性の揺らぎを意識した時だ。株式市場はともかく、債券市場や為替市場が不安定化し金融政策がその対応を迫られる事態になるリスクがある。