“絶対的な株価”より「相対比較」が重要なワケ
ゴールドマン・サックスに入社し、マネージング・ディレクターに就任、アジアのトレーディングチームを率いた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、「オルカン」「S&P500」の“次に知るべき”ノウハウが満載!
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「安い」と「高い」を見極める第一歩
株式投資で資産を増やすもっともシンプルな考え方は、いうまでもなく「安いときに買って、高くなったら売る」です。
つまり「安いとき」とか「高いとき」というのが「いつなのか」が、投資判断をするうえで重要なポイントになります。そこで知っておかなくてはいけないのが「株価がどのようにして決まっているのか」ということです。
株価は「買いたい人」と「売りたい人」の綱引きで決まる
日本の場合、東京証券取引所に上場しているおよそ4000の企業に対して、常時株価を見ている投資家は数百万人いると推測されます。
これらの流通市場の参加者には、特定の株を「買いたい人」と「売りたい人」がいます。それぞれの株に対する見方が違うため、同じ株価を見ても「高い」と感じる人もいれば、「安い」と感じる人もいるのです。
その株の需要と供給がマッチしたのが「株価」であり、その株価で株式は取引されます。「この値段で、この数量を買いたい」という買い手と、「この値段で、この数量を売りたい」という売り手のニーズが合えば、取引が成立します。
なぜ「絶対的な株価」は存在しないのか?
このように株価はさまざまな人の思惑が絡むので、「理論的に株価がこうであるべきだ」という絶対的な公式は存在しません。
ただ、学術的には企業価値(および株価)を算出するモデルはたくさん提案されており、さまざまな“流派”があります。
学者たちが挑む「適正株価」算出モデル
ファイナンスの教科書に載っているものだけでも、「相対価値評価モデル(コンプス)」「配当割引モデル(DDM)」「割引キャッシュフローモデル(DCF)」「残余利益モデル(RIM)」など、複数あります。
それぞれの流派が、それぞれの方法を実践して適正株価を算出しています。そして、その適正株価よりも下の価格で株を買うことで、将来的な配当金や売却益を狙うのが一般的です。
複雑なモデルを個人投資家が覚えなくて良い理由
もっとも、こうしたモデルの中身を一般の個人投資家が覚える必要はありません。なぜなら、「このモデルを使えば、必ず株価を予想できる」というものではないからです。
それぞれのモデルでは、今期の利益予想や将来の配当の予想、資金調達コストなど、不確定な変数が多く設定されています。この変数をどう仮定するかは人によって違うので、結局は適正な株価を常に出すことはできないのです。



