投資初心者がやりがちな「残念な判断」ワースト1…PERしか見ない
ゴールドマン・サックスに入社し、マネージング・ディレクターに就任、アジアのトレーディングチームを率いた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、「オルカン」「S&P500」の“次に知るべき”ノウハウが満載!
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通説のウソ
「PERが低い株は割安」の罠
「PERが低い株式は割安」とよくいわれますが、それだけを株を買う判断材料にするのは危険です。
そもそもPERの値の標準値は、その会社やその会社が属する業界の将来性によって違います。自動車セクターであればPER10~15倍、ITセクターであればPER20~25倍など、そのセクターに対する市場参加者の期待に応じた値があります。
まったく成長しない業界、足元の利益の安定性もおぼつかない会社では、PERは3~4倍で評価され、低めの株価で取引されていることがしばしばです。
「割安株投資」が儲からない?
5年間の塩漬けリスク
低PERを割安銘柄の指標として捉える「バリュー(割安)株投資」という投資法では、機械的に低PERの割安株を買い続けることで収益を上げることもあります。
しかし、このようなバリュー株投資は損益のブレが大きく、長いときは5~10年にわたって割安な株は割安なままということがあります。ということは、そのような株式を持っていても、ほぼ利益を出せない可能性があるということです。
PERが低い株には低いだけの理由があります。単に低PERの銘柄を買えばいいというわけではないことは意識しておくべきです。
プロでも読めないPERの正体
PERは金利などのマクロ指標に加え、その企業の成長への期待など、さまざまな要素によって決まります。そうした期待値の予測は相場のプロでも難しく、PERだけで正しい投資判断をするのは困難です。
発想の転換:PERは「定数」として扱う
そして、需要と供給がマッチしてしまえば、PERはそれほど大きく動くことはありません。短中期ではPERはほぼ動かず、長期でもおおよそ一定の値に収束します。
したがって、私が投資判断をする際は、PERをほぼ定数と捉えるようにしています。成功しているヘッジファンドも、PERをそのように取り扱っていることが多いです。



