40歳で「いつか引退して自分のやりたいことができる日が待ち遠しい」と思っているアホに名言を教えてあげたい。
そんなあなたに薦めたいのが、全世界45言語に翻訳され、世界500万部を突破しているベストセラー『やりたいことが見つかる 世界の果てのカフェ』(ジョン・ストレルキー 著/鹿田昌美 訳)だ。「何度読んでもハッとする」と話題の一冊から、おすすめの名言について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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「いつかやりたい」、永遠にその日は来ない
「いつか引退したら、好きなことをやりたい」
40歳を過ぎると、こんな言葉を口にする人が増えてきます。
でも、それは希望ではなく「逃避」の言葉かもしれません。
なぜなら、「今を生きていない人」に、「いつか」は永遠に訪れないからです。
忙しい日々の中で、「今は仕方ない」「もう少し頑張ったら」と自分に言い聞かせる。
けれど、その「一時的なはず」が、気づけば何十年も続いてしまう。
そうして、やりたいことを後回しにしたまま、人生が静かに終わっていくのです。
「いつか症候群」の正体
『世界の果てのカフェ』という本では、その危うい思考を見事に描いています。
「一時的なことだ」と自分に言い聞かせる。
「近いうちに、何か別のことを、本当にやりたいことに向けた何かをするだろう」と信じて。
――『世界の果てのカフェ』(第16章)より
「今は我慢、いつか自由に」。そう信じて働くほど、自由から遠ざかっていく。
やりたいことを先送りにするうちに、やりたいことを思い出せなくなる。
それが、「いつか症候群」の怖いところです。
そして、作中のケイシーはこう続けます。
そして、やがて私たちも、そんな謎めいた未来を思い描きはじめるの。
仕事をする必要がなくなり、望む人生を送れるようになる「いつか」をね。
だけど、とりあえずは、毎日を好きに使えないという事実を埋め合わせるために、私たちは多くのモノを購入する。
広告のメッセージが少しでも真実であることを願うの。
そういった商品が、日常生活では得られない充実感を運んできてくれることを。
残念ながら、買えば買うほど、支払いも増えるわ。
だから、支払いのためにますます仕事に費やす時間が増える。
仕事に費やす時間は、私たちが人生に望む過ごし方ではないから、さらに満たされない気持ちになる。
なぜなら、やりたいことをする時間がさらに減ってしまうからよ。
――『世界の果てのカフェ』(第16章)より
これこそが、現代人の「幸福のパラドックス」です。
「自由のために働く」はずが、「働くために自由を失う」。
気づかぬうちに、豊かさを装った牢獄に閉じ込められているのです。
「いつか」ではなく、「いま」から始めよう
やりたいことを退職後に取っておくのは、「老後の健康が保証されている」と信じるようなもの。
未来は誰にもわかりません。
だからこそ、「いまやる」ことに価値があるのです。
やりたいことが小さなことでも構いません。
今日の30分を「自分のための時間」に使うだけで、人生は動き出します。
「いつかの準備」をやめて、「いまの充実」を積み重ねる。
それが本当の意味での「豊かさ」です。
「いつかやりたい」ではなく、「いま始めよう」
「いつか引退して好きなことをやる」と言う人に、こう伝えたい。
「引退しなくても、いま始められますよ」と。
やりたいことは未来の報酬ではなく、「今この瞬間」の選択だということ。
「いつか」は幻想。「いま」だけが現実。
本当に自由な人とは、今を生きる勇気を持つ人なのです。
(本稿は、『世界の果てのカフェ』の発売を記念したオリジナル記事です)




