ドナルド・トランプ米大統領が4月に広範な関税を発表した際、エコノミストらはインフレ率が急上昇すると予想し、米経済がリセッション(景気後退)入りする確率を引き上げた。企業や消費者は値上がりに備えて買いだめに走った。しかし今では、そうした懸念は行き過ぎだったように思われる。インフレ率はまだ高過ぎるとはいえ、予想を下回っている。そして関税率がほぼ1世紀ぶりの高さになっているにもかかわらず、米景気は引き続き拡大している。マスミューチュアルの投資戦略責任者ケリー・コワルスキー氏は「人々が想定していたのと同じくらい関税が大きな問題になっているのか、よく分からない」と述べた。同時に、期待された関税のメリットもおおむね実現していない。トランプ氏の関税による収入は財務省の予想を大きく下回っており、米国内の製造業が好況に沸いている兆候はほとんど見られない。