たとえば、「午前9~10時は戦略立案」「午後3~5時はプロジェクト作業」といった具合に、あらかじめ時間をブロックし、その枠にはほかの予定を入れないようにします。1回のブロックは90分以内が理想的です。これは人間の集中力の限界に基づいています。

 週の初めや、週末の段階で「集中の時間」を確保しておくことで、後から予定に流されにくくなります。すでに重要度の高いタスクが明らかになっているなら、それをこの集中の時間に割り当てましょう。ほかに気になる案件があったとしても、ブロックした時間には、その仕事だけに取り組むことを自分に課すことが、集中力を高める第一歩です。

 余裕を持った時間配分を心がけることもポイントです。60分でできそうな作業でも90分で設定しておき、早く終わった場合はその時間をほかのタスクや小休憩に充てることができます。空白の時間(バッファ)も必要です。

本当に必要な連絡ではないなら
電話以外の手段でやり取りをする

(2)外部からの中断を防ぐ

「集中の時間」を確保するうえで、最も大きな妨げとなるのが「外部からの中断」です。とくに電話は即時の対応を求められるため、集中力を著しく削ぐ原因になります。

 そこで有効なのが、「電話には基本的に出ない」というスタンスを明確にすることです。電話を受けるべき相手は、ごく限られているはずです。可能であれば、メールやチャットなど、非同期で確認できる手段を優先しましょう。

 もちろん、すべての電話を無視するわけにはいかない場合もあるでしょう。その場合は、重要な顧客対応だけは受け、それ以外の連絡は会社代表に集約し、必要なものだけ事務スタッフから取り次いでもらうなどの工夫が考えられます。

 もちろんこうしたスタンスは、相手との関係にも配慮が必要です。とくに電話を好む世代や慣れ親しんだコミュニケーションスタイルがある場合には、一定の柔軟性も求められます。

 しかし、「本当に重要なことだけは電話で、それ以外は別の手段で」という共通認識が職場全体に根づいてくれば、お互いにとって心地よい働き方が実現できるはずです。