まじめで責任感のある人ほど、つい「すぐに対応しないと失礼」と感じてしまいがちですが、その感覚が、自分の優先順位を曖昧にしてしまいます。「相手の期待に応じるのか?」「自分の大切なことを後回しにしないのか?」、この2つの間で気持ちが揺れ動いたとき、私はこう問いかけるようにしています。

「いま、大切にしたいのは誰の優先順位なのか?」

 誰かの都合に応え続けていると、いつの間にか自分の人生が他人の時間で埋め尽くされてしまいます。けれど、自分の時間を生きるためには、「NO」と言える自分、「それは後で対応しよう」と判断できる意識が必要です。

集中できるか否かは
環境と習慣が左右する

 日々の雑務や割り込みによって、本当に集中したい仕事に手が回らないときは、環境と習慣を変えてみましょう。意識的な工夫を取り入れることで、誰でも集中する環境と習慣はつくることができます。ポイントは4つあります。

(1)作業環境を整える

 まず取り組みたいのは、物理的・デジタル的に気が散らない環境をつくることです。

◎デスク上は必要なもの以外は置かず、シンプルに整理整頓する。
◎スマホは別の部屋に置く、または通知を完全にオフにする。
◎使用しないアプリやタブは閉じておき、画面に表示されるアイコンは最小限にする。

 通知やアラートは集中の大敵です。仕事で使用するSlackやMessengerなど、どうしても必要なアプリだけを例外として残し、他は非表示・ミュートにします。アイコンが目に入るだけでも脳は刺激を受けるため、視覚的な情報の整理を意識しましょう。

(2)集中のスイッチをつくる

 集中モードに切り替えるためには、簡単なルーティンを持つことも有効です。

◎デスクまわりを整える。
◎コーヒーを淹れる。
◎深呼吸を3回する。
◎タイマーを押す。

 このような小さな儀式が、脳に「いまから集中する」という信号を送ってくれます。複雑な手順は不要です。むしろ、毎日自然にできるシンプルな動作こそが、習慣化につながる秘訣です。