イスラエル軍工兵部隊の分遣隊が先月、パレスチナ自治区ガザの撤退ラインの後方でトンネルを破壊していた時、隠し縦穴から飛び出してきたイスラム組織ハマスの戦闘員が掘削機に向けて対戦車ミサイルを発射し、兵士2人を殺害した。イスラエルとハマスはその1週間余り前に停戦で合意していた。犠牲者を出したこの襲撃に対してイスラエルはガザへの一連の空爆で応じ、多数の死者が出た。この危うい停戦合意の初期の試練は、より大きな問題を示した。それは何百人もの武装したハマス戦闘員が、ガザのイスラエル支配地域の地下にあるトンネルに閉じ込められており、イスラエルへの攻撃も辞さない構えでいることだ。こうした状況は、イスラエルが5月に始めた取り組みの結果だ。それは武装勢力を追い払い、ハマスがこの紛争の間ずっと戦闘員や人質、兵器を隠してきた広範囲に及ぶトンネル網を破壊するというものだ。イスラエルの戦略は、地下網を構成する各セクションを互いに切り離すことだった。だが、米国が仲介した停戦合意に基づくイスラエル軍の撤退が一定のラインまでになっていることで、そのラインの後方にとどまっている戦闘員は、脱出手段がなく、物資補給が減る中で地下に閉じ込められたままになっている。