「仕事がつらい人」と「楽天的な人」の決定的な違い
101歳、現役の化粧品販売員として活躍している堀野智子(トモコ)さん。累計売上高は約1億3000万円で、「最高齢のビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録に認定されたキャリア61年のトモコさんが、年をとるほど働くのが楽しくなる50の知恵を初公開した話題の書『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)が「堀野氏の技法は、ヒュミント(人間による情報収集活動)にも応用できる」と絶賛(日刊ゲンダイ・週末オススメ本ミシュラン)する世界一の先輩による“人生訓”は、アナタの疲れた心も元気にしてくれる!

仕事がつらいと感じない人が実践する「前向き仕事術」Photo: Adobe Stock

根っからの楽天家

私はこれまで「仕事がつらい」とか「苦しくてたまらない」と感じることがありませんでした。それは、もともと楽天的だったということが大きいかもしれません。

思えばこれまでの人生、早くに母親を亡くしたり、夫を見送ったりと、悲しいことは人並みに経験してきましたが、何かを深刻に思い悩んだということは、おそらくなかったような気がします。

悲しみを受け止めて、前へ
「楽しい」がヒントになる

家族を失ったときはもちろん悲しみましたが、自分がしっかり生きていくことが、亡き人への何よりの供養になるという思いがあり、長く引きずることはありませんでした。

著書を刊行することになったとき、編集者の方にそう伝えたところ、「ぜひそうしたことをお話ししてください。トモコさんの考え方が楽天的で、それゆえに楽しく仕事を続けてこられたこと自体が、多くの読者のヒントになると思います」と言われ、なるほど、楽しく生きて働き続けてきた話をすればいいのかとストンとふに落ちたのです。

私の話が、誰かの「ラク」に
命ある限り、大好きな仕事を

楽天的なのが取りえの私の話が、少しでもみなさんの気持ちをラクにできるのならば、お話しするのがこの年齢まで働き続けることのできた私のお役目なのかな、とそのときに思った次第です。

命ある限り、お客さんを大事にしながら、大好きな仕事を続けていきたい。そう思っています。

【解説】出来事と感情を「切り分ける」技術

著者・トモコさんは、ストレスの多い現代社会を生きるビジネスパーソンにとって、非常に重要な「働き方」と「生き方」のヒントを提示しています。

私たちは仕事において、プレッシャーや予期せぬトラブル、時には理不尽な出来事に直面します。「つらい」「苦しい」と感じることは自然な反応です。

しかし、トモコさんが「深刻に思い悩んだことはなかった」と語るように、重要なのは、起きた「出来事(事実)」と、それに対する自らの「感情(解釈)」を同一視しないことです。

悲しみや困難を否定するのではなく、それを受け止めた上で「自分がしっかり生きていく」ことへ意識を向ける。この視点の切り替えこそが、困難な状況を乗り越え、前進するための「レジリエンス(回復力)」の源泉となります。

「楽しさ」を羅針盤にするキャリア戦略

キャリアが長くなればなるほど、「耐えること」が美徳とされがちです。しかし、トモコさんは「『楽しい』がヒントになる」と断言します。

これは、自身の感情に正直になり、何にやりがいを感じ、何を得意とするのかを深く知る「自己認識」の重要性を示しています。

楽天的な視点で自らの「楽しさ」を追求し、それを仕事の原動力とすること。それこそが、一時の成功ではなく、「長く働き続ける」ことを可能にする、最も持続可能なキャリア戦略と言えるでしょう。

経験を「他者への価値」に昇華させる

ご自身の生き方が「誰かのラクに」つながるかもしれない、という気づきは、ビジネスにおける「価値提供」の本質と重なります。

自分にとっては当たり前の楽天的な姿勢が、他者にとっては「ヒント」となる。これは、自分が培ってきたスキルや経験、そして考え方そのものが、他者への貢献につながる可能性を示しています。

自分の仕事が社会や他者にどのような「ラク」を提供できているかを意識することが、「命ある限り」仕事を愛し続けるための、何よりのモチベーションとなるのです。

※本稿は、『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。