「もう年だからは言い訳」100歳ポーラセールスが60年貫く“意外すぎる”習慣
101歳、現役の化粧品販売員として活躍している堀野智子(トモコ)さん。累計売上高は約1億3000万円で、「最高齢のビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録に認定されたキャリア61年のトモコさんが、年をとるほど働くのが楽しくなる50の知恵を初公開した話題の書『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)が「堀野氏の技法は、ヒュミント(人間による情報収集活動)にも応用できる」と絶賛(日刊ゲンダイ・週末オススメ本ミシュラン)する世界一の先輩による“人生訓”は、アナタの疲れた心も元気にしてくれる!

100歳で「学び続ける人」と「辞める人」の決定的な違い…60年続く「純粋な動機」とは?Photo: Adobe Stock

100歳こえた今も「やりたい仕事」の真っ只中

みなさんは、自分がやりたい仕事をしていますか? 私は100歳をこえた今もやっています。

それは、60年以上前から愛用していたポーラ化粧品のセールスの仕事です。

学びへの情熱、7キロの道のり
「素敵なもの」を伝えたい、原点の想い

今でも新製品の研修や勉強会に参加することは欠かしません。そんなときは、自宅から7キロ離れたポーラの営業所まで、バスを乗り継いで行きます。

初めてポーラの化粧品を手にしたときから、「こんな素敵なものをたくさんの人に知ってもらう仕事をしてみたい」と思っていたんです。

​舞い込んできた「運命のチャンス」
子育てと時代の壁、それでも消えなかった炎

とはいえ、そのころは、まだ3番目の子どもが小学生。今のように学童保育が充実している時代でもなく、子を持つ女性が働く環境は整っていませんでした。

「しばらく、働くのは難しいだろうな」と思ってはいましたが、完全にあきらめたわけではありません。

だから、その数年後、外出したときにばったり会った友人のご主人が、「ポーラ化粧品の営業所を始めた」と聞いたとき、「ようやくチャンスが舞い込んできた!」と運命的なものを感じたんです。

【解説】100歳をこえる現役セールスに学ぶ
キャリアを貫く3つの力

100歳をこえてもなお、「やりたい仕事」の最前線に立ち続ける著者・トモコさんの姿は、キャリアのあり方が多様化する現代のビジネスパーソンにとって、多くの示唆に富んでいます。その情熱の源泉と行動力から、私たちは何を学ぶべきでしょうか。

1.「何をしたいか」という純粋な動機(WHY)

トモコさんの原動力は、60年以上前に感じた「こんな素敵なものをたくさんの人に知ってもらいたい」というシンプルな想いです。キャリアが長くなると、私たちは時に目先の業務や数字、あるいは役職に意識が向きがちです。

しかし、困難な壁に直面したときや、環境の変化に対応しなくてはならないとき、私たちを支え、再び立ち上がらせてくれるのは、「なぜ、この仕事をしているのか」という純粋な動機(WHY)です。トモコさんの姿は、この原点がいかに強力なエネルギー源となるかを証明しています。

2.経験にあぐらをかかない「学びの姿勢」

60年以上愛用し、販売してきたベテランでありながら、今なお7キロの道のりを通って「新製品の研修や勉強会」に参加し続けています。

現代は、市場のニーズもテクノロジーも目まぐるしく変化します。昨日までの成功体験が、明日には通用しなくなるかもしれません。自身の経験や勘だけに頼るのではなく、常に新しい情報やスキルを謙虚に学び続ける姿勢こそが、年齢に関わらず「現役」として価値を提供し続ける秘訣です。

3.環境を言い訳にせず、チャンスを掴む「準備」

トモコさんが働きたいと思った時代は、「子を持つ女性が働く環境は整っていませんでした」。しかし、彼女は「完全にあきらめたわけでは」なかったと言います。

「しばらく難しい」と現状を冷静に受け入れつつも、心の炎は消さずにアンテナを張り続けたからこそ、数年後に訪れた友人の夫との偶然の出会いを「運命のチャンス」として即座に掴むことができました。

環境や時代のせいにして行動を止めるのではなく、想いを持ち続けて準備する人だけが、訪れた機会を活かせるのです。

トモコさんの生き方は、「人生100年時代」におけるキャリア形成の、まさに生きた見本と言えます。情熱の原点を持ち、学びを止めず、チャンスに備えること。この3つが、長く充実した職業人生を切り開く鍵となるでしょう。

※本稿は、『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。