「肩書」があると、人は頑張れる
自分の仕事をどう捉えるかで、仕事に対する情熱に差が出ることを示す例で、有名な3人のレンガ職人の話があります。
ある旅人が道を歩いている途中で、レンガを積んでいる最中の3人の職人に出会います。
Photo:PIXTA
1人目の職人に「あなたは何をしているのですか?」と聞いたところ、その職人は「見ればわかるようにただのレンガ積みだ」と答えました。
2人目の職人に同じ質問をしたところ、その職人は「仕事で壁を作っているのだ」と答えました。
3人目の職人にも聞いたところ、この職人は、「歴史に残る大聖堂を作っているのだ」と答えました。
1人目の職人には、これといった目的はありません。2人目は生活のために働いている。3人目に至っては、世の中に貢献することが目的です。もちろん一番モチベーションが高いのは3人目の職人です。
人は往々にして、物事を自分だけの一人称の視点で見がちです。今の仕事も見方を変えると知らないうちに他のだれかにとても感謝されている仕事かもしれません。
想像力を働かせてみてください。そして、新しい価値がみつかったら、それに合う新しい肩書きを個人的にどんどん増やしていきましょう。「◯◯エキスパート」「◯◯アドバイザー」「◯◯アンバサダー」なんていいのではないでしょうか。
「誰かの役に立ちたい」が、仕事の原動力になる
これは仕事のやり方やその範囲を見直すことです。
いい例がディズニーランドのキャストです。園内で働く人のことですが、清掃員もその仕事の範囲は清掃だけに留まりません。お客様の写真を撮ってあげたり、掃除用具を使って芸を披露したりと「お客様に喜んでもらうのが仕事」というほうが合っています。このように仕事の内容をとらえ直したおかげでキャストのモチベーションはかなり高くなったはずです。
実際に、ジョブ・クラフティングの考えを用いて仕事のモチベーションを上げている例があります。アメリカの中西部のある大病院で働く清掃員の人たちです。
彼らは自分たちを単なる清掃員と考えず「ヒーリング(癒やし)チーム」の専門職ととらえているそうです。そのため患者やその家族のためにティッシュペーパーを部屋に置いたり、コップに水をくんできたり、励ましの言葉をかけたりといったホスピタリティに関わる活動をして、自分たちの仕事に新たな意味を見出しているのです。
ポイントは「誰かの役に立ちたい」という思いかもしれません。
最近の心理学では、モチベーションの種類に、「人間には、他人と関わり合い、誰かの役に立ちたいという欲求」があるとも言われるようになってきました。
この視点で見直すと、皆さんの仕事や立場に新しい魅力が出てきます。








